恋愛ドラマ、なぜ社内舞台を描くのか? 『#リモラブ』『恋あた』『恋する母たち』から考察

恋愛ドラマ、なぜ社内舞台を描くのか?

 さらにわかりやすいのは、『恋する母たち』での食品メーカー宣伝部課長の林優子(吉田羊)とその部下で若手ホープ社員の赤坂剛(磯村勇斗)の許されざる恋だろう。“不倫”という形ではなかったが、『きょうは会社休みます。』(日本テレビ系)で描かれたアラサー事務職・青石花笑(綾瀬はるか)と、現役大学生バイトの田之倉(福士蒼汰)との9歳差カップルも当時話題になった。『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)での深田恭子演じるアラサー塾講師の春見順子と、横浜流星扮する男子高校生の“ゆりゆり”こと由利匡平の出会いの場も“塾”という主人公にとっての職場だった。年齢や立場が全く異なる相手と一目惚れですぐに結ばれることは考え難いが、同じ場に決まった頻度で集い、一つの目標に向かって協力し合うことで、いつの間にか心の距離が近づくという過程は自然で受け入れられやすい。

『恋する母たち』(c)TBS

 いつの世も“ドラマ”というのは“もしかしたら現実にも起こり得るかもしれない”という理想と現実のギリギリのところを突いて見せてくれるのが醍醐味であり、それが視聴者に共感やドキドキをもたらしてきた。女性も働くことがデフォルトとなった今、毎日通っている職場で誰かが人知れず自分の存在に気付いてくれて、頑張りを認めてくれて見出してくれる。こういったものを疑似体験することこそが、現代女性にとってのある意味での“シンデレラストーリー”であり、心の癒しになったり日々を頑張る活力、励みになっているのかもしれない。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
金曜ドラマ『恋する母たち』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:木村佳乃、吉田羊、仲里依紗、小泉孝太郎、磯村勇斗、森田望智、瀧内公美、奥平大兼、宮世琉弥、藤原大祐、渋川清彦、玉置玲央、矢作兼、夏樹陽子、 阿部サダヲ
原作:柴門ふみ『恋する母たち』(小学館 ビックコミックス刊)
脚本:大石静
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:佐藤敦司
演出:福田亮介
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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