“おジャ魔女世代”の問題を描いた本来の続編に? 『魔女見習いをさがして』に仕掛けられた“魔法”

『魔女見習いをさがして』が描いた“魔法”

 では、TVアニメシリーズは全くの夢物語だったのだろうか。たしかに、魔法を使う少女たちの物語はファンタジーそのものだ。しかし、小学生のどれみや、その友達とクラスメイト、妹のぽっぷなど、『おジャ魔女どれみ』シリーズに登場するキャラクターは、それぞれに決して軽くはない悩みを抱え、魔法はそれを乗り越えるきっかけとして使用されるものの、最終的には自分の意志の力で問題を乗り越えていた。その意味で、TVシリーズと今回の劇場版は、本質的に近しいものなのではないだろうか。むしろ、20年あまりの歳月をくぐり抜けてきた視聴者たちにとって、自分たちの問題をふたたび描く、本来の続編といってもいいのかもしれない。

 TVシリーズにおける魔女見習いの3人は、それぞれに自分の願いを持っていたが、それは絶対に魔法でなければ叶えられないものではなかった。それこそが、これから人生が本格的に始まっていく年代の視聴者に向けた、作品のメッセージだった。飛騨高山、京都、奈良と、『おジャ魔女どれみ』にゆかりのある場所を一緒に巡ることで、様々な経験をしていく本作の主人公たちは、旅のなかでそのことをふたたび思い出していくことになる。

 そして、3人がたどりついた選択は、観客の予想を超える場所へと着地することになる。たしかに現実は思い通りにならないことばかりだし、子どもの頃に抱いた世界への甘い理想は裏切られ、フェアな勝負が行われないこともある。しかしその結果、自分たち自身でも選択の幅を狭め、発想の限界を決めてしまっている人もいるのではないか。本作が示す結論は、深刻な現実を踏まえながら、それでも自由な生き方ができるはずだという考え方を提示している。

 小さな頃に観たTVアニメが伝えようとしていたメッセージを、ずっと覚えている人は少ないかもしれない。でも、じつは無意識のうちで記憶の奥にそれが残り続け、ふとしたときに現れることがある。そして、人生の岐路に立ったときに、踏み切ることができない背中を押してくれる一助になってくれるかもしれない。本作が描いた“魔法”とは、そのようなものだったのではないだろうか。

■小野寺系(k.onodera)
映画評論家。映画仙人を目指し、作品に合わせ様々な角度から深く映画を語る。やくざ映画上映館にひとり置き去りにされた幼少時代を持つ。Twitter映画批評サイト

■公開情報
『魔女見習いをさがして』
全国公開中
声の出演:森川葵、松井玲奈、百田夏菜子、千葉千恵巳、秋谷智子、松岡由貴、宍戸留美、宮原永海、石毛佐和、石田彰、浜野謙太、三浦翔平
原作:東堂いづみ
監督:佐藤順一、鎌谷悠
脚本:栗山緑
キャラクターデザイン・総作画監督:馬越嘉彦
プロデューサー:関弘美
アニメーション制作:東映アニメーション
配給:東映
(c)東映・東映アニメーション
公式サイト:Lookingfor-Magical-Doremi.com  
おジャ魔女どれみ20周年Twitter:@Doremi_staff
おジャ魔女どれみ20周年公式Instagram:doremi_20th_anniv

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