『犬夜叉』屈指の人気キャラ、“初恋キラー”殺生丸の魅力 『半妖の夜叉姫』では“妻”が明らかに?

 そもそも父が犬夜叉に鉄砕牙を託したのは犬夜叉が人間さえも慈しむ心を持っていたからであり、人間や半妖怪を見下していた殺生丸に“癒しの刀”である天生牙を与えたのも、他者を思いやる心や守るべき人を持つ大切さを伝えたかったという理由に他ならない。そんな父の思惑通りに成長した殺生丸は、影の主人公だったと言っても過言ではないだろう。殺生丸が大人の女性ではなく、当時アニメを観ていた子供と同じくらいの年齢であるりんの力で変わっていくという設定も彼が“初恋キラー”と呼ばれる所以なのかもしれない。殺生丸&りんのやり取りに思わずキュンとしていた視聴者も多いようだ。

 最終回から半年後の世界が描かれた『半妖の夜叉姫』第1話では、みんなの“推しカプ”である2人の姿は健在。犬夜叉たちが妖怪・根の首の討伐に当たる中、殺生丸はそっとりんのいる場所を守っていた。りんも変わらず殺生丸を慕っている様子。「幸せそうで何より」と誰もが思っていたが、物語の舞台が殺生丸の双子の娘“とわ”と“せつな”の時代に変わると殺生丸やりんはおろか、元気な姿で最初に登場した犬夜叉やかごめ、弥勒と珊瑚の姿も確認できない。それに子世代のとわとせつな、さらには犬夜叉とかごめの娘“もろは”は両親のことを何も知らないという。

 前作はハッピーエンドで幕を閉じたはずなのに、これは一体どうしたことか。何より現代にタイムスリップしたとわが戦国時代に帰ってきた際、時代樹の中に眠っていた女の子の姿が話題となった。かごめとする説もあるが、髪の毛のハネ方具合を見ればりんとする説の方が有力だろう。しかも、桔梗の姿を借りた時代樹の精霊は、とわたちに父・殺生丸を倒せと命令。どうやら西国を治めた犬の大将に対し、東国を支配していた獣王・麒麟丸は時空を歪めて、世を末法末世で飲み込みすべて無に返そうとしているのだが、殺生丸は麒麟丸と同じ道を歩んでいるという。なぜ他者を思いやる心を持った殺生丸が平和を脅かそうとするのか。彼なりの理由があることは間違いないが、かつては冷酷な一面を持っていただけにファンからは不安視する声も挙がっている。

 だが同時に、とわとせつなの母がりんであれば、想像の範疇だった殺生丸とりんのアフターストーリーが描かれることに高揚感があるのも事実だ。願わくば、前作のようにハッピーエンドで終わってほしい。『犬夜叉』は迫力のある戦闘場面だけではなく、登場人物の恋愛ドラマも見どころの一つ。珊瑚の弟・琥珀や、息子・翡翠も魅力的な男性に成長し、殺生丸の髪色を受け継いだとわ、ふわふわのファーを受け継いだせつなとの恋愛模様もいささか気になるところだ。

※記事初出時、一部に記述の誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
『半妖の夜叉姫』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週土曜17:30~放送
※一部地域を除く
監督:佐藤照雄
シリーズ構成:隅沢克之
メインキャラクターデザイン:高橋留美子 
アニメーションキャラクターデザイン:菱沼義仁
音楽:和田薫
アニメーション制作:サンライズ
製作:サンライズ、小学館、読売テレビ
(c)高橋留美子/小学館・読売テレビ・サンライズ 2020
公式サイト:hanyo-yashahime.com
公式Twitter:@hanyo_yashahime

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