ジョニー・デップ演じるグリンデルバルド最後の姿に 復習マストの『ファンタビ』第2作をおさらい

復習マストの『ファンタビ』第2作を復習

シリーズの鍵となるのは“愛”?

 そう、本シリーズはとにかく大人の恋が印象的に描かれていて、ハリーたちのウブい初恋と比べて切なくもあるのです。ニュートにはリタ・レストレンジ(ゾーイ・クラヴィッツ)という初恋の相手がいて、彼女はニュートの兄・テセウス(カラム・ターナー)と婚約している。ずっと彼女の写真を持っていた彼ですが、1作目で出会ったティナのことが少し気になり、2作目『黒い魔法使いの誕生』では彼女への恋心を募らせます。そして逃亡者のクリーデンス(エズラ・ミラー)も、本編削除シーンで同じく身寄りのないナギニ(クラウディア・キム)の手の甲にキスを落とすなど、強い気持ちを持っていることが伺える。一方でティナの妹・クイニーも、ノーマジのジェイコブと恋に落ちる。本来、魔法使い(魔女)とノーマジの結婚は禁止されていて、法律を破ればアズカバン行きになってしまうほどの重罪。そんな種族の違いによる叶わぬ悲恋が、『黒い魔法使いの誕生』では大きな鍵となってきます。そしてもう一つ、鍵となる恋がダンブルドア(ジュード・ロウ)と宿敵グリンデルバルド(ジョニー・デップ)のもの……。

グリンデルバルドと、彼の仕掛ける世界魔法大戦の意義

 グリンデルバルドとダンブルドアの間には歴史があります。『黒い魔法使いの誕生』の劇中にも2人が「破れぬ誓い」を交わしていることが明かされていますが、これはお互いが学生の時、近い未来で戦い合わないように取り決めたもの。著者のJ・K・ローリングも、『黒い魔法使いの誕生』のブルーレイ特典映像にて、2人が恋仲にあったことを明言しており、特にダンブルドアが彼を深く愛していることを語っています。しかし彼らの確執が生まれるきっかけとなったのが、劇中のリタ・レストレンジとダンブルドアの会話に出てきたアリアナ・ダンブルドア、彼の妹です。

 彼女は幼少期、マグルからよくいじめられていました。そういった精神的または肉体的に苦痛を感じ続けたり、虐げられたりする状況でオブスキュラスが生まれるのです。オブスキュラスを宿した魔法属の子はオブスキュリアルと呼ばれ、彼らはたびたび感情のコントロールを失うとオブスキュラスを暴走させて周囲を攻撃してしまう。アリアナもまた、魔法を暴発させてしまう癖があり、そこから彼女がオブスキュリアルだったことが考えられます。ある時、彼女の暴走を巡ってアルバスと弟のアバフォース(キアラン・ハインズ/『死の秘宝 PART2』に登場)、グリンデルバルドの三者が口論になり、決闘へと発展。その時の誰かの攻撃が誤ってアリアナに当たり、彼女は死んでしまった。ここから、ダンブルドアとグリンデルバルドには確執が生まれたのです。

 そしてそもそも、彼がアリアナのことで兄弟に口出しをした理由は2作目で明かされた彼の信念によるものでした。それは「魔法使いはマグルに虐げられ、隠れて生活をする必要がない」、世界を、そして非魔法人を支配する側であるべきだという信念。彼はアバフォースに「魔法使いの世界を表舞台とし、マグルに身の程を知らせれば哀れな妹は隠れなくてもいいし、いじめられずに済む」と主張していたのです。ここで対立が生じるわけですが、これからわかるように、グリンデルバルドは魔法使い(純血)の地位を向上したい人なのです。彼は国際魔法使い機密保持法を廃止することで、世界を変えようと考えていました。その同志を募ったのが『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』なのです。そして、全5作を予定されているシリーズは、この魔法世界大戦を以てして幕が閉じられることが考えられます。

  『黒い魔法使いの誕生』ではもう一つのテーマがあり、それは前作のラストでオブスキュリアルとなってしまった青年クリーデンスの出生を巡る謎です。彼のアイデンティティーを解く旅でもある本作では、ラストになぜグリンデルバルドがクリーデンスを手の内に収めようとしたのか、その衝撃的な理由が明かされます。

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