台湾でも日本映画歴代1位に 『鬼滅の刃』が創出する「新時代」の世界興行

『鬼滅の刃』が創出する「新時代」の世界興行

 もう一つ。ありとあらゆるメディアが『鬼滅の刃』のヒットの要因を付け焼き刃(刃だけに)で解説している中で、自分が最も重要かつ最も新しい理由だととらえているのは、同作のテレビシリーズがプラットフォームを問わずストリーミングサービス各社で配信されていたということ。調べてみたところ、現時点でテレビシリーズの海外での配信状況は限定的なもの(少なくとも、オーストラリア、イタリア、インド、メキシコなどでは配信されている)となっているが、今後、各国でもそのあたりが整備されるようだったら、これまでの日本映画(実写、アニメーション問わず)とはまったく異なる環境下で公開されることになる。

 世界最大のマーケット(2020年はパンデミックによって中国に抜かれるのは確実だが)であるアメリカ、及びカナダを含む北米で『鬼滅の刃』が公開されるのは今のところ「2021年中」とのことだが、もしかしたらそこではこれまで見たことがなかったような出来事が待っているかもしれない。もっとも、おそらく2021年春になれば、これまで公開延期を食らっていた大作が次々に公開されることになるので、そこに埋没してしまうかもしれないが。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「集英社新書プラス」「MOVIE WALKER PRESS」「メルカリマガジン」「キネマ旬報」「装苑」「GLOW」などで批評やコラムやインタビュー企画を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。最新刊『2010s』(新潮社)発売中。Twitter

■公開情報
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』
全国公開中
声の出演:花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞、日野聡、平川大輔
原作:吾峠呼世晴(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸、梶山庸子、菊池美花
プロップデザイン:小山将治
コンセプトアート:衛藤功二、矢中勝、樺澤侑里
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記、椎名豪
主題歌:LiSA「炎」(SACRA MUSIC)
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
(c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
公式サイト:https://kimetsu.com
公式Twitter:@kimetsu_off

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