『モンスターハンター』は『ソニック』『名探偵ピカチュウ』に続くか ゲーム映画化の歴史を辿る

『モンハン』などゲーム実写映画の歴史を辿る

 これまでハリウッドは基本的に、リスクをできる限り回避して、興行収入を稼ぐことを追求し、有名なIP(知的財産)に必死に固執してきた過去があった。ビデオゲームもそんなIPの一つ。その中でも有名な例が『バイオハザード』シリーズだ。シリーズ化された本作が新たに映画化される度に、どのように描かれていくのか期待を膨らませてあわせて作品を鑑賞するプレイヤーも増えた。批評家からの評価は低かったものの、ゲームの売上と同様に、映画の興行収入でも成功を収め、相乗効果を産むことができた。

 同様に、高いパフォーマンスを出したのがビデオゲーム『ヒットマン』の映画化だった。映画『スクリーム2』のティモシー・オリファントが演じた、完全無欠の暗殺者に仕立て上げられた主人公・エージェント47役は、企画当初は、『ワイルド・スピード』でお馴染みのヴィン・ディーゼルを主演に雇う予定だったが、ディーゼルが降板という事態に。正直、オリファントは脇を固める演技派の俳優で、主演らしい俳優ではなかった。しかし、オリファントの起用により、結果的に出演料が抑えられ、その分派手なアクションシーンに製作費を注ぎ込み、1億ドル以上の興行を収めることができた。その成功の証として、2015年には映画『ヒットマン:エージェント47』がリブート作品も手がけられている。

 もちろん、世界的な知名度のある俳優を雇うことも重要だ。なぜなら多くのビデオゲームは、カリスマ的な主人公に支えられているからだ。『アンチャーテッド』で言えばネイサン・ドレイクがいて、『The Last of Us』では、父親ジョエルと娘エリーの世紀末での親子関係が存在し、『マス・エフェクト』だったら、宇宙連合軍のジョン・シェパード少佐がいる。当然、ビデオゲームのクリエイターも、何年もかけてこうしたキャラクターを構想し、そのキャラクターを主人公として長時間プレイするプレイヤーも思い入れや愛着を抱く。そのため、その主人公が映画化される際に、どんな俳優がキャスティングされるのかは大きな注目を集める。製作陣としては、キャスティングにおいても興行面での戦略を図っていかなければいけないのだ。

 上記に挙げたように、ビデオゲームを映画化する上では、様々なハードルを乗り越えなければいけない。では批評家からの評価も高く、興行的にも成功を収めたビデオゲームの実写化作品は、どのようなアプローチで出来上がったのだろうか。

『名探偵ピカチュウ』(c)2019 Legendary and Warner Bros. Entertainment, Inc. All Rights Reserved.(c)2019 Pokémon.

 記憶に新しいのは、映画『ガリバー旅行記』のロブ・レターマン監督が手がけた『名探偵ピカチュウ』だ。レターマン監督は生まれ育ったハワイで日本のポップカルチャーにも親しんでいたために、制作段階から株式会社ポケモンやポケモン関係者、ゲーム用3Dモデルの製作ディレクターに会い、ポケモンをどう解釈し、どういう形で描くか事前に綿密に相談していたという。さらにピカチュウを探偵というフィルム・ノワール的な世界観を描くことで子供のファンだけでなく、大人も楽しめる作品に仕上げることを当初から考えていたそうだ。事実、作品ではアニメ調のキャラクターを上手くCGでリアルタッチで捉えられている。それもあってか、興行では4億3300万ドル(445億9900万円)を記録した。もちろん、歴代ゲームシリーズ総収益ベストでポケモンが1位であることも要因としてあるだろう。

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