吉高由里子のミステリアスな魅力 『危険なビーナス』が持つホームドラマの顔

『危険なビーナス』が持つホームドラマの顔

 当主の康治(栗原英雄)が寝たきりになり、跡継ぎの明人が行方をくらましたことで、矢神家の人々はタガが外れてしまった。30億の資産を前にして互いをライバル視する親族に、一瞬目を覚ました康治は「明人を待て」とメッセージを送る。そういえば、遺産の中には、大きな価値のあるものが含まれていたはずだが、牧雄(池内万作)が昏睡状態に陥ったことで、こちらは当面お預けに。明人の捜索という本来の目的の周りをグルグルと回っているようで、ちょっとした迷宮入り感も出てきた。

 百合華のために嘘をつき、支倉家を救った伯朗。復讐を選ばなかった伯朗に、祥子は実母である禎子(斉藤由貴)の真実を伝える。第4話で支倉家を通じて描かれたのは、バラバラになった家族がもう一度ひとつになることだった。原作で楓のセリフに相当する「伯朗さんは心のまっすぐな人」という言葉を反復し、百合華にも同じ言葉をしゃべらせることで、伯朗が家族との絆を確かめる補助線を引く。本作のもう一つのテーマであるホームドラマとしての顔を浮き彫りにするエピソードだった。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
日曜劇場『危険なビーナス』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、吉高由里子、ディーン・フジオカ、染谷将太、中村アン、堀田真由、結木滉星、福田麻貴(3時のヒロイン)、R-指定(Creepy Nuts)、麻生祐未、坂井真紀、安蘭けい、田口浩正、池内万作、栗原英雄、斉藤由貴、戸田恵子、小日向文世
原作:東野圭吾『危険なビーナス』(講談社文庫)
脚本:黒岩勉
プロデューサー:橋本芙美(共同テレビ)、高丸雅隆(共同テレビ)、久松大地(共同テレビ)
演出:佐藤祐市、河野圭太
製作:共同テレビ、TBS
(c)TBS

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる