『共演NG』はテレビ業界の問題点を指摘するドラマに? 秋元康×大根仁の持ち味が発揮

『共演NG』はテレビ業界の裏を描く?

  舞台となるテレビ局・テレ東(テレビ東洋)のモデルは、ドラマ部部長の「うちは池の水抜いたり、人んちで充電させてもらったりが専門だからな」という台詞や、助監督の「(ドラマは)深夜はありだけど、ぶっちゃけそんな数字もとれてないし」という台詞からも、あきらかにテレビ東京であると思わせる。

 その後に続くプロデューサーとドラマ部長の「次にこけたら唯一のドラマ枠は営業にとられるってことですか」「このご時世、ステーションイメージを上げるドラマより、コスパのいい番組を求めてる」という台詞は、今のテレビ界の問題点の指摘でもあると考えられる。

 また、大根仁監督ということで、彼の作品の常連の俳優や、芸達者なキャストがこの世界を作り上げているのも楽しみなところだ。大根組に出演の多い岡部たかしがドラマの監督役で出ていたり、『MIU404』(TBS系)で人気の橋本じゅんが一話で率直な質問をぶつける週刊誌のデスクを演じていたり、また劇団EXILEの小野塚勇人が遠山の付き人を演じているなど、脇を固める俳優たちにも注目だ。

 第1話を観ると、これからこんなドラマが始まるという要素や業界のあれこれをあますところなく説明しながら、スピード感もあり、サービス精神に満ちていると感じた。そして何より、テレビの仕事に携わるものの危機感も感じられた。このドラマ自体を成功させることで、リアルな危機感を乗り越えたいという気持ちも見えた気がする。

 きっちりエンターテインメントを見せるところも、大根仁監督の持ち味だと思う。過去には、テレ東で『湯けむりスナイパー』、『モテキ』、『まほろ駅前番外地』『リバースエッジ 大川端探偵社』などを手掛けてきた監督でもある。これらのドラマでは、ふとした瞬間にエモさが爆発するような回があった。この『共演NG』でも、くすっと笑わせたり、業界への興味を満足させつつも、人間同士の濃い感情がにじみ出るような瞬間が今後も見られることを期待したい。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■放送情報
『共演NG』
テレビ東京系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:中井貴一、鈴木京香、山口紗弥加、猫背椿、斎藤工、リリー・フランキー、里見浩太朗、堀部圭亮、細田善彦、小澤廉、若月佑美、小野花梨、小野塚勇人、森永悠希、小島藤子、岡部たかし、迫田孝也、岩谷健司、瀧内公美、橋本じゅん
企画・原作:秋元康
監督:大根仁
脚本:大根仁、樋口卓治
プロデューサー:稲田秀樹(テレビ東京)、祖父江里奈(テレビ東京)、合田知弘(テレビ東京)、浅野澄美(FCC)
制作:テレビ東京/FCC
製作著作:「共演NG」製作委員会
(c)「共演NG」製作委員会
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/kyouen_ng/
公式Twitter:@kyouenNG_tx

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