上白石萌音&岡田健史が届けてくれた恐怖体験 『ほん怖』稲垣吾郎の言葉通りの特別な夜に

上白石萌音&岡田健史が届けた恐怖体験

 そしてもう1つの新作「訳ありのカラオケ店」で主演を務めたのは、2018年のドラマ『中学聖日記』(TBS系)で一躍ブレイクし、今年は『MIU404』(TBS系)で成長ぶりを見せた岡田健史。ホラー作品初挑戦の岡田が演じるのは、カラオケ店員の大野陽平だ。「開かずの間」よりも短いこの作品は、恐怖が最初から視聴者を襲う。実は陽平が働くカラオケ店はちょっとしたいわくつきの建物の中にあり、スタッフはいつも奇妙な現象に日々悩まされていた。

 思わずビクッとしてしまったのは、陽平が片付けを終えてカラオケ部屋を出る時。一瞬だったので気づかない人もいたかもしれないが、陽平の肩に女性の手が乗せられていたのだ。手が見えた瞬間に跳ね上がり、持っていた物を床に落とす岡田の演技にこちらまで心臓が止まりそうになる。

 そんなある日のある日の夜、同僚の金井(川島鈴遙)と店番をしているところに元店員である吉岡(亜生)がやってくる。彼は「後から連れが来るから」と言い残して8番の部屋に入っていくが、「ここで待ち合わせとか神経疑うわ」と呟いた金井の言葉に陽平は疑問を抱いた。気になりながらも陽平は接客をしていると、しばらくしてフロントに長い髪の女がやってくる。見るからに様子がおかしい彼女は「7番の部屋に案内してほしい」「早く彼のところに行きたいんだけど」と陽平を急かし、陽平は8番の部屋に女を案内した。しかし、会計に現れた吉岡は、結局自分の連れは来れなくなったと一人分の料金を払おうとする……。

 後から陽平が金井から聞いた話には、吉岡に酷いフラれ方をしたその女性はカラオケ店で命を絶ったのだという。少し切ない気持ちになりながらも、「なんだそういうことか」と安心したのも束の間……。いつも通り部屋の片付けを終えた陽平が廊下を歩く後ろには、あの女性が佇んでいるのだった。

 コロナの影響でハロウィンの夜に仲間とはしゃぐことが叶わなかった今年。代わりにほん怖が届けてくれたのは、離れていてもドキドキやゾワっとする気持ちを共有できる恐怖体験だった。さらに、いつもはキュンとさせてくれたり、笑わせてくれる上白石と岡田の恐怖に怯えた顔。ストーリーの面白さはさることながら、たくさんの副産物に稲垣が語った「今年はちょっと見てほしい」という言葉の意味を知ることができた。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■作品情報
土曜プレミアム『ほんとにあった怖い話 2020特別編』
フジテレビ系にて、10月31日(土)21:00~23:10放送
『ほん怖』クラブリーダー:稲垣吾郎
『あかずの間を造った話』出演:上白石萌音、片岡愛之助ほか
『訳ありのカラオケ店』出演:岡田健史、亜生(ミキ)、川島鈴遥ほか
原作:『ほんとにあった怖い話』(朝日新聞社)、『HONKOWA』 (朝日新聞出版)
総合プロデュース:後藤博幸
プロデュース:古郡真也(FILM)
演出:下畠優太ほか
脚本:酒巻浩史ほか
制作・著作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/honkowa/
公式Instagram:https://www.instagram.com/honkowa_fujitv/

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