『恋する母たち』が示す甘美な“脳内麻薬” 母たちは人生の苦しみにどう立ち向かうのか

『恋する母たち』が示す甘美な“脳内麻薬”

 バリキャリの林優子(吉田羊)も、家庭に居心地の悪さを抱えながら耐えてきた。夫に家事、育児を任せっぱなしでここまできてしまったという罪悪感。心を閉ざす息子にどう接していいかわからない戸惑い。そのストレスは心の隙間を作る。その小さな風穴があいていることを、赤坂(磯村勇斗)は見逃さない。

 こんなに若くてモテる男性が、私を全力で落とそうとしている……まり同様、優子もうっとりするような状況につい浮ついてしまう。トイレで人知れず頬を叩き、振り回されまいと気合を入れるも、一度その“脳内麻薬”の快感がよぎると、何度も脳内でその幸福感を確認せずにはいられない。

 “脳内麻薬”に翻弄されているようでは、まだまだ子ども。大人なら用法用量を守って薬とうまく付き合っていかなくては。その誘惑は怒りの数だけ、傷ついた数だけ転がっているのだから。母たちは「恋に落ちた」と言い訳しながら、性欲に堕ちていくのか。それとも、誰かに求められる快感に漂わず、自分で人生の苦しみに立ち向かうのか、次回以降も目が離せない。

■放送情報
金曜ドラマ『恋する母たち』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:木村佳乃、吉田羊、仲里依紗、小泉孝太郎、磯村勇斗、森田望智、瀧内公美、奥平大兼、宮世琉弥、藤原大祐、渋川清彦、玉置玲央、矢作兼、夏樹陽子、 阿部サダヲ
原作:柴門ふみ『恋する母たち』(小学館 ビックコミックス刊)
脚本:大石静
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:佐藤敦司
演出:福田亮介
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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