ディーン・フジオカが目指す、理想のダークヒーロー像 『危険なビーナス』をいま描く意義は?

ディーンが目指す、ダークヒーロー像

今このチームで描く面白さを味わってほしい

――東野圭吾さん作品には初出演ということで。これまで『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(フジテレビ系)や『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』(フジテレビ系)など、多くの名作を基にした作品にも出演されていらっしゃいますが、原作がある作品に出演するときに意識されていることはありますか?

ディーン:これはポジティブにとらえていただきたいんですが、原作があるものって、原作が一番面白いと思っているんです。なぜかというと、小説なら小説、漫画なら漫画……と、それぞれ原作の表現方法、そのプラットフォームとして使っているメディアに特化した形状に最適化されてるもので作られているから。それをドラマという別のプラットフォームに持っていこうってなった場合、なかなか原作の魅力を超えることって難しいと思うんですね。とはいえ、今回のようにライブアクションというか人間が出てくるものになる意味は必ずあるわけで。そこをすごく意識しますね。やっぱりゼロイチを生み出した方の思いってものは、真っ当したいっていうか。矢神勇磨っていうキャラクターの原作にある存在意義や魅力を損なわない形で届けられたらいいなって思います。

――ミステリー要素がある原作物だと、結末を知りたいような知りたくないような……という方もいらっしゃると思いますが、今回は小説を事前に読んだほうが楽しめますか?

ディーン:個人的にはそうだと思います。原作を楽しんだ上で、さらに答え合わせのような感覚でドラマを見てほしいですね。この原作を、どういうふうに演出したのか、この人がこのキャラクターを演じるとこのセリフがこんな感じになるのか……みたいに見ていく面白さが、むしろ原作があるからこそできると思っていて。ネタバレしていたとしても面白いものは、面白いじゃないですか。だって、例えばシェイクスピアの舞台作品だって、何百年も前から世界中で何回も何回も上演されているわけで、日本でだって歴史上の出来事をモチーフにしたドラマや映画が何回も何回も作られている。みんな結末も答えも知っていていわばネタバレしてるのに、それでも見たくなるのは、その時代時代で演出している人が違う、演じている人が違うから。今このタイミングで、このチームで描くというところに、拍手が湧き起こるし、感動が生まれると思うので、今回もそんな面白さを味わってほしいと思います。

――なるほど。そうした意味では、今回『モンテ・クリスト伯』に続いて脚本家・黒岩勉さんとのタッグにも注目ですね。

ディーン:そうですね、黒岩さんがやっぱりすごいんですよ。誰が演じるかとか、誰が演出するかっていうのも、もちろん大きいんですけど脚本というものはドラマの骨組みですし、そこでやっぱり映像化する意義みたいなものが決まってくると思うんです。だから、黒岩さんがこういう謎を引っ張りながら、視聴者を引き込んでいくっていうことが素晴らしく上手なのは、自分も前回プロジェクトをご一緒させていただいたときにすごく感じていたので。また、こういう形でお仕事をご一緒させてもらえるのはすごく光栄ですね。

――原作よりも勇磨のセリフが長くて大変そうだった、という声も聞こえてきましたが。

ディーン・フジオカ:あはは。きっと黒岩さんが、それだけ勇磨っていうキャラクターを、ドラマの中で愛を持って作ってくれているんだっていうのを感じました。「セリフが長い」とか、そういうちょっとした愚痴は、まあギャグみたいなもので。もともと何ページもあるセリフを覚えていくのは得意……いや得意って言うとそういうの増えそうだから、苦手じゃないって言っておこう(笑)。これまでも10ページあるセリフとかもやってきたことがあるので、そのあたりは本当に苦手じゃないんですけれど。ただ今回は別の仕事の都合で身体を絞っていたこともあり、糖不足だったのか少し苦労してしまったんですよ。そしたら今度はちょっと痩せ過ぎちゃったので、ほっぺた膨らませていこうかな、なんて(笑)。

――今回演じられるのも名家の一族ですし、高貴なイメージが定着している印象ですが、実際のディーン・フジオカさんはいかがなのでしょうか?

ディーン・フジオカ:もう泥まみれ、汗まみれの人生ですよ、本当に! だから“役を演じる“って、すごいことだなって思いますよね。だって、日本で1番最初にやった仕事なんて、かなりエグい殺人逃亡犯のキャラクターだったんですよ。当時のマネージャーから「日本での仕事はこれで最初で最後になるかもしれません」なんて言われて。“おいおい、そんな仕事持ってくるなよ“とも思いましたけど(笑)。でも、そういうスタートだったにも関わらず、先ほどおっしゃってくださったようなイメージを持っていただけたということは、パブリックフィギュアみたいな形で愛してもらえるキャラクターをたくさん演じさせていただけた証拠だと思うんですね。そこが本当に役者冥利というか。だから、これからも高貴なキャラクターが求められたときはやっぱりマナーというか品がある形で演じるべきだと思うし、また泥まみれ汗まみれ血まみれな役がきたときにはもうぐちゃぐちゃになって。これからも一生懸命、役者人生を生きていきたいですね。

■放送情報
日曜劇場『危険なビーナス』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、吉高由里子、ディーン・フジオカ、染谷将太、中村アン、堀田真由、結木滉星、福田麻貴(3時のヒロイン)、R-指定(Creepy Nuts)、麻生祐未、坂井真紀、安蘭けい、田口浩正、池内万作、栗原英雄、斉藤由貴、戸田恵子、小日向文世
原作:東野圭吾『危険なビーナス』(講談社文庫)
脚本:黒岩勉
プロデューサー:橋本芙美(共同テレビ)、高丸雅隆(共同テレビ)、久松大地(共同テレビ)
演出:佐藤祐市、河野圭太
製作:共同テレビ、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kikenna_venus/
(c)TBS

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる