『DIVER』の福士蒼汰、『MIU404』の菅田将暉ら、見事な悪役ぶりでインパクトを与える俳優たち

悪役ぶりでインパクトを与える俳優たち

誰もがハッとする王道悪役

 『MIU404』(TBS系)での菅田将暉は悪役の王道ともいえる存在感を示した。彼が演じるのは久住というドラッグの売人である。器用に人の懐に入り込んでは心を開かせる天才だが、その実、自分の存在は嘘で塗り固めて周りの誰のことも信用していない。菅田が見せる久住の表情は根っからの悪人面というよりは愛嬌のある小悪党といったところだ。だが菅田は淡々と役を演じる中で、久住という男の表面的な人当たりの良さに内包された冷徹さを適度に“感じさせ”、只者ではないというオーラを作り上げた。その瞳の奥に時折ちらりと青白い炎を燃やしてみせるのだ。こうして表現された魅力的なキャラクターは多くの視聴者を引き付け虜にした。

 さらに現在放送中の『DIVER-特殊潜入班-』(関西テレビ・フジテレビ系)では福士蒼汰が悪役に挑戦。県警の「潜入捜査」チーム最強の捜査官といわれる役柄なのだが、初回から既に敵だけでなく見方までをも叩きのめし、極悪非道ぶりを発揮している。ダークヒーローとして活躍する福士のクールな姿を拝める作品だ。

 こうして悪役を演じることで、今までのイメージを刷新したり、役者として一皮剥けた姿を見せることができる。その中で多くの役者は、新たな輝きや危うい魅力を放ち、ますます実力をものにするのだ。昨今は勧善懲悪のドラマが減り悪役もマイルドになりつつあるが、その分、悪のバリエーションも多岐にわたる。そこには新たな狂気が生まれ、我々は争いようのない力に吸い寄せられてしまうだろう。これからも悪役を演じる俳優たちの魅力からは目が離せない。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
『DIVER-特殊潜入班-』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送(全5話)
出演:福士蒼汰、野村周平、片瀬那奈、浜野謙太、正門良規(Aぇ! group / 関西ジャニーズJr.)、中山義紘、正名僕蔵、安藤政信、りょう
原作:大沢俊太郎 『DIVER-組対潜入班-』(集英社)
脚本:宇田学
演出:宝来忠昭、木村弥寿彦(カンテレ)、西片友樹
プロデュース:萩原崇 (カンテレ)、大城哲也(ジニアス)
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/diver/
公式Instagram:https://www.instagram.com/diver_ktv/
公式Twitter:@diver_ktv

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