『35歳の少女』第1話は脚本・遊川和彦の“毒”が全開の内容に 絶望の現在をどう描く?

『35歳の少女』第1話は“毒”が全開

 これはまだ第1話の段階なのではっきりと言い切ることは難しいが、結人は『過保護のカホコ』でのカホコ(高畑充希)にとっての初(竹内涼真)のような存在になっていくのではないかと感じた。結人の軽薄で日々をのうのうと生きながら、自分と今の世間に直視できている姿は、初を彷彿とさせるものがある。25年経った未来で望美に告げる、好きという思い。そして「こんな世界だけどまた会うことができたろ、俺たち」という目覚めたことを肯定する結人の一言は、望美にとって心に届いた唯一の救いの言葉である。

 これまでの作風を踏襲しながらも、遊川とプロデューサー・大平太は対談の中で「既存のドラマらしくないドラマ」(大平)、「既存のドラマの作り方をしない」(遊川)と今作が目指すものを明かしている。『35歳の少女』は遊川にとっても、日本テレビにとっても新たなステップの作品になるのかもしれない。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『35歳の少女』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜22:54放送
出演:柴咲コウ、坂口健太郎、橋本愛、田中哲司、富田靖子、竜星涼、鈴木保奈美、細田善彦、大友花恋
脚本:遊川和彦
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:大平太、諸田景子
演出:猪股隆一ほか
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/shojo35/
公式Twitter:@shojo35

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