三浦春馬さんの眩しい笑顔の思い出を玲子のように愛でていく 愛情に溢れた『カネ恋』を振り返る

『カネ恋』が描いた「繕う」というプロセス

欠けた心を愛と感謝で繕い、思い出を愛でていく

 最終回では、突然姿を消した慶太のいない風景と、慶太を演じた三浦春馬さんの旅立ちを重ねずにはいられない方も少なくなかったはずだ。経理部メンバーたちの「いないと欲してる自分がいます」「いっしょに夢語ってさ」と寂しがる姿。早乙女の「本当、自由なヤツだな」というやりきれない表情。「すぐヘラって笑って返ってくる」と言わずにはいられない板垣(北村匠海)に、「一番のファンだからね」と手をにぎるようにジャケットの袖をにぎりしめる慶太の母(キムラ緑子)。「責任なんてない方がアイツは輝けるんだ、ありのままでいいんだ」と語る慶太の父(草刈正雄)。そして、「猿渡さんに逢いたい」と心から願う玲子……。

 当初、放送そのものが検討されていたが、予定していたものを大幅に変更し、こんなにも愛情に溢れた作品へと整えたことに改めて拍手を贈りたい。そして、この作品そのものが、悲しい知らせに動揺した多くの人のほころびを決してなかったことにはせず、一緒にその気持ちを繕うものになっていたように感じた。傷ついて、壊れて、ぽっかりと穴が空いてしまった感情は、モノと同じようにはいかないかもしれないけれど。出会えたことへの感謝で、ずっと近くに感じられる愛で、一緒に欠けてしまった部分を金継ぎして埋めていこう。そして、あの眩しい笑顔の思い出を、玲子のように大事に心の窓辺に飾って愛でていきたいと思った。

■放送情報
火曜ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』
出演:松岡茉優、三浦春馬、三浦翔平、北村匠海、星蘭ひとみ(宝塚歌劇団)、大友花恋、稲田直樹(アインシュタイン)、中村里帆、八木優、河井ゆずる(アインシュタイン)、キムラ緑子、ファーストサマーウイカ、池田成志、南果歩、草刈正雄
ゲスト出演:梶裕貴、岡本莉音、トミー(水溜りボンド)、登坂淳一
脚本:大島里美
演出:平野俊一、木村ひさし
プロデュース:東仲恵吾
主題歌:Mr.Children「turn over?」(トイズファクトリー)
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/KANEKOI_tbs/
公式Twitter:https://twitter.com/kanekoi_tbs

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