松岡茉優と三浦春馬さんの“良き”キスシーン コミカルに現実を映し出す『カネ恋』の潔さ

コミカルに現実を映し出す『カネ恋』の潔さ

 「ゴロゴロピカーン」とは、慶太が「恋と結婚は違う」という持論を話したときに出てきた言葉。恋は毎日誰にでもできるもの、結婚は生涯この人と決めた1人を大切にするもの。その相手に出会った瞬間ゴロゴロピカーンとくるはずだ……と。慶太にとって、この雷鳴が「この人だ」というサインになったのかは、まだわからない。でも、慶太の言動は、もうとっくに玲子に夢中になっているようだった。

 言葉では「お世話になっているから」と言っていたが、ただただ玲子の幸せを願ってやまない眼差し。初恋を応援しながらも、うまくいきそうになるたびに、一緒に喜ぶものの、笑顔に少しだけ寂しさを漂わせていた。その物言わずとも伝わってくる表情の変化が、実にうまかった。

 うまいと言えば、今回の脚本もそうだ。早乙女が既婚者&子持ち疑惑が出てきたのと同時に、慶太が父・富彦(草刈正雄)と鮫島ひかり(八木優希)との親子関係を勘違いしていたというエピソードが飛び出す妙技。「パパ」と呼ばれていたところを見たという状況が同じというのが、より「本当は違うのでは?」と視聴者を揺さぶってくる。

 また、その疑惑を追求しようとしていた板垣(北村匠海)が早乙女に詰め寄るも、「通常なら相談料は1時間30万円」と聞いて、ついついお金について相談してしまう流れも人間味がにじみ出ていた。細かな心理描写、コミカルに見えて現実的な部分を真正面から描く潔さなど、実に丁寧なドラマ作りが見える『カネ恋』。残り1話なのが、本当に残念だ。

 自分で直すひと手間を惜しんで、ほつれた服を買い替える。誰かと向き合う労力を惜しんで、新しい相手に飛びつく。目新しい情報にワッと飛びついて、アッという間に消費していく……いつの間にか、そんな生活に慣れてしまっていた私たちに、丁寧に日々を見つめること、モノや人を大切にすることを思い出させてくれる本作。最後まで、その「良き」仕事を堪能したい。

■放送情報
火曜ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』
TBS系にて、毎週火曜22:00~ 22:57放送
出演:松岡茉優、三浦春馬、三浦翔平、北村匠海、星蘭ひとみ(宝塚歌劇団)、大友花恋、稲田直樹(アインシュタイン)、中村里帆、八木優、河井ゆずる(アインシュタイン)、キムラ緑子、ファーストサマーウイカ、池田成志、南果歩、草刈正雄
ゲスト出演:梶裕貴、岡本莉音、トミー(水溜りボンド)、登坂淳一
脚本:大島里美
演出:平野俊一、木村ひさし
プロデュース:東仲恵吾
主題歌:Mr.Children「turn over?」(トイズファクトリー)
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/KANEKOI_tbs/
公式Twitter:https://twitter.com/kanekoi_tbs

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