『TENET』、ノーラン史上最高の出足で初登場1位 『ブラック・ウィドウ』は来年までお預け

『TENET』、ノーラン史上最高の出足に

 先週末の動員ランキングは、クリストファー・ノーラン監督の新作『TENET テネット』が土日2日間で動員20万人、興収3億2700万円をあげて初登場1位を獲得した。初日の9月18日(金)から22日(火・祝)までの5日間の累計では動員46万8229人、興収7億5299万6550円。シルバーウィーク効果も大いに寄与しているので単純な比較はできないが、最終興収35億円の2010年公開『インセプション』の公開初週の記録(3日間の先行上映期間を含む6日間の累計で興収7億8000円)の勢いを超える、ノーラン作品史上最高のスタートダッシュとなった。

 『TENET テネット』の興行は、今後もIMAX上映館では盛況が続き、課題は通常上映のスクリーンとのギャップとなっていくだろう。しかし、本作に関しては、多少足を伸ばしてでもやはりIMAX上映館での鑑賞を推奨したい。幸か不幸か、多くのハリウッド大作が本国の判断で公開延期となったこともあって、11月20日公開の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』までの約2ヶ月間、どうしてもIMAXで観るべき、つまりは撮影でIMAXフィルムが使用された新作の公開スケジュールが空くことになる。『TENET テネット』のIMAX興行の好調が続く限り、それまではIMAXのスクリーンで観ることができるわけだ。

 「たかが映画を観るためにわざわざ遠くまで行けないよ」という人も、未だ劇場の営業再開の許可が下りていないロサンゼルスやニューヨークの観客に比べれば恵まれているかもしれない。現状、国内での移動制限はされていないため、同地区の観客の中には車で何百キロも離れた隣の州まで『TENET テネット』を観に行く観客も少なくないという。

 本コラムでは度々アメリカの映画を取り巻く状況についても触れているが、その理由は、ダイレクトに日本の興行界にも影響を与えているからだ。以前から噂となっていたが、本日(アメリカ時間の9月23日)、11月公開予定だったディズニー配給の『ブラック・ウィドウ』の公開が正式に2021年5日7日(北米)に再延期されることが発表された。当初は2020年5月公開予定だったので丸1年の公開延期、マーベル・シネマティック・ユニバース作品としては昨年7月(北米)公開の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』から実に1年10ヶ月もの空白が「映画では」生じることとなった。「映画では」というのは、その前日にディズニープラスで『ワンダヴィジョン』が年内に配信されることが発表されたから。マーベル・シネマティック・ユニバースのフェイズ4は、映画館ではなく、自宅のテレビで幕を開けることとなった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「興行成績一刀両断」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる