映画興行正常化、9月19日から全席販売が再開! 一方、先が見えないアメリカでは?

映画興行正常化、一方アメリカでは?

 より深刻なのはもう一つの理由だ。日本よりもはるかに新型コロナウイルスの感染者数も重症者数も死者も多いアメリカでは、映画館の営業が再開された多くの地域でも、まだ映画館で映画を観ることに抵抗を覚えている人が少なくないようなのだ。これは6月以降、日本でもある程度見られた現象なので時間が解決するかもしれないが、一部メディアはかなり長期化するだろうと予測している。配信プラットフォームが整備されていることもあって、ここ数ヶ月、新作映画の配信公開が日本と比べて比較にならないほど浸透していること、また、例えばスコット・エリクソン(『ドクター・ストレンジ』)のようなハリウッド・メジャーで活躍する監督の中にも「映画館の営業再開は時期尚早だ」と公言する関係者がいることも、日本とは状況が異なっている。

 『TENET』が公開されて以降、ワーナーはこれまで度々再設定してきた『ワンダーウーマン1984』の公開日をさらに12月25日まで延長した。まだ公式には発表はされていないが、ディズニーも、こちらも同じく度々再設定してきた『ブラック・ウィドウ』の公開を来年にさらに先送りにするだろうと言われている。それらの報道が、何よりも雄弁に現在のハリウッドの危機感を語っている。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「装苑」「GLOW」「キネマ旬報」「メルカリマガジン」などで批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。最新刊『2010s』(新潮社)発売中。Twitter

■公開情報
『TENET テネット』
9月18日(金)全国ロードショー
監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス
製作総指揮:トーマス・ハイスリップ
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ディンプル・カパディア、アーロン・テイラー=ジョンソン、クレマンス・ポエジー、マイケル・ケイン、ケネス・ブラナー
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved
公式サイト:http://tenet-movie.jp
公式Twitter:https://twitter.com/TENETJP

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