『私の家政夫ナギサさん』は“肩の荷を下ろす”ドラマに サプライズ満載の多幸感あるラスト

『わたナギ』は“肩の荷を下ろす”ドラマに

家族のピンチにプロの力を借りてもいい、という選択肢

 しかし、メイに愛情を注ぐ側でいたいと願ったナギサさんだからこそ、将来自分の方が先に老いていく現実を恐ろしく思った。誰かの負担になんてなりたくない、それが愛する人ならなおさらだ。日々忙しく働き、ゆっくりと話し合うことができないメイを見て、そんな話し合いをすることそのものが足手まといになってしまうのではと「結婚の話はなかったことに」と置き手紙を添えて姿をくらませてしまう。

 そんなナギサさんの不安をメイは「介護が必要なら、もっと稼いでプロの力を借ります」と一蹴。何もかも自分1人で抱え込もうとしてきたころのメイとは明らかに違う思考だ。ナギサさんと出会って、プロに頼る良さを知ったからこその選択肢。それは、このドラマに出会った私たちも同じだ。これまで、家事も育児も介護も、結婚した女性が手がけることが多かった。従来からある型にハマることだけが、自分たちの未来を解決する方法ではない。

 「もともとさ決まった形なんてないんだから、お互いに自分たちの形を見つけていくしかないんじゃないの」とはメイの母・美登里(草刈民代)のセリフ。美登里自身、結婚と同時に諦めたキャリアについてや、娘たちにプレッシャーをかけて育ててしまったことなど、常に悩みながら歩んできたからこそ出てきた言葉なのだろう。人生は「まさか」の連続。だから、その都度「一片の悔い無し」といえる選択を目指すしかない。

 そうしてトライアルから正式にスタートしたメイとナギサさんの新婚生活が、来週も観られるという「まさか」な展開が待っていた最終回。『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で夫婦役だった富田靖子と宇梶剛士が再共演を果たしたり、富田演じる古藤としろくまメディカル・駒木坂(飯尾和樹)が夫婦だったりと、サプライズが満載。さらに『MIU404』のメロンパン号まで登場して、ともに飯尾が演じる駒木坂とUDIの坂本が同じ世界線にいる、ドッペルゲンガー状態にも頬が緩んだ。いろいろな型にハマりがちな現代だからこそ、火曜の夜くらいは肩の荷を下ろして、ドラマを楽しもう! そんなメッセージも感じられたラストだった。

■放送情報
火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜放送
出演:多部未華子、瀬戸康史、眞栄田郷敦、高橋メアリージュン、宮尾俊太郎、平山祐介、水澤紳吾、岡部大(ハナコ)、若月佑美、飯尾和樹(ずん)、夏子、富田靖子、草刈民代、趣里、大森南朋
原作:『家政夫のナギサさん』(四ツ原フリコ著/ソルマーレ編集部)
脚本:徳尾浩司
演出:坪井敏雄、山本剛義
プロデューサー:岩崎愛奈(TBSスパークル)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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