小芝風花は“いま必要とされている存在”! 『妖怪シェアハウス』での“奮闘”に感じるチカラ

小芝風花の“奮闘”に感じるチカラ

 これに続いて放送が始まったのが、今作『妖怪シェアハウス』である。ヒロインに続いて単独主演というのは、彼女が一人の演技者として力をつけてきた証拠であり、小芝が“いま必要とされている存在”だからに違いない。彼女の奮闘する姿と笑顔には、見ている者を勇気づける何かがあるような気がする。

 今作で小芝が演じている目黒澪という人物は、信じていた恋人に騙され、身も心もボロボロになった若い女性。番組公式サイトに目を通してみると彼女について、“人を信じやすく、まじめで我慢強い一方で、自分に自信がなく、自己評価がとても低い。”と記されている。ドラマを観ていると彼女の世間知らずな言動はどうにももどかしいが、その反面、澪の成長を応援し、見守りたくもなってくる。今作の、“振り回される女性の奮闘記”という側面に目を向けると、『美食探偵 明智五郎』との繋がりも感じずにはいられない。しかも小芝は、レギュラーキャストのなかでも最年少なのだ。

 そんな彼女を取り囲むのは、大倉孝二、松本まりか、毎熊克哉、池谷のぶえ、味方良介といった、強力なバイプレイヤー陣。しかも前者4名は“妖怪役”であり、味方は“陰陽師役”であるというアクの強さ。対する澪は、“不幸”ということを除けば普通の人間。この設定だけでも、澪役を演じる者によっては劣勢を強いられることだろう。しかし、小芝は物語の、ひいては作品の中心にしっかりと立っている。

 ストーリー展開としては、現代の迷える子羊である澪の不遇を見かねて、一緒に住む妖怪たちが手助けしてくれるというもの。彼女は彼女自身の足で立とうとし、前へ進もうとする……が、これがなかなか難しい。そんないじらしい彼女を見て、手を差し伸べたくなるのは妖怪たちだけでなく、私たちも同じなのではないだろうか。

 ハツラツとした笑顔を見せたかと思えば、ふいに困り顔へ、さらには泣きべそをかいたりと、くるくる表情を変え、テンションを自在に操る小芝。いまポテンシャルを開花させつつある彼女にとって、強力なバイプレイヤー陣は相手として不足なしだ。都会に揉まれる澪と同様に、演じる小芝自身もまた、奮闘している真っ最中なのだろう。

 『美食探偵 明智五郎』に『妖怪シェアハウス』とドラマ出演が続いているだけに、映画よりもドラマ向きの印象が強い彼女だが、映画での奮闘もまた観たいもの。だが、現在の不自由を強いられる環境下、テレビドラマを楽しみにしている方は多いはずだ。ドラマを活気づけることは、世の中を元気づけることにもなるのではないか。小芝風花には、そんなチカラを感じる。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
『妖怪シェアハウス』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:15~24:05放送
出演:小芝風花、松本まりか、毎熊克哉、池谷のぶえ、内藤理沙、大東駿介、味方良介、柾木玲弥、宮本茉由、大倉孝二
脚本:西荻弓絵、ブラジリィー・アン・山田、綿種アヤ
演出:豊島圭介、山本大輔
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:飯田サヤカ(テレビ朝日)、宮内貴子(角川大映スタジオ)
制作:テレビ朝日
制作協力:角川大映スタジオ
(c)テレビ朝日
公式Twitter:https://twitter.com/youkaihouse5
公式Instagram:https://www.instagram.com/youkaihouse5/

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