『キミスイ』から『ふりふら』へ 浜辺美波&北村匠海、3年の月日で見せた変化

『キミスイ』『ふりふら』浜辺&北村の変化

 そして、昨年公開されたアニメ映画『HELLO WORLD』では、北村が主演、浜辺がヒロインとして声の共演を果たし、こうして二人は『キミスイ』からの3年間を歩んできた。そんな彼らが再び実写作品で共演することとなった『ふりふら』は、少女マンガが原作だ。メガホンを取ったのは、“原作モノ映画”を手がける名匠・三木孝浩監督。キラキラした青春のひとときを収めた原作はシックな手触りのものに仕立てられ、高校生の四角関係を描いた作品でありながら、ターゲットはティーン層だけにとどまらないものに仕上がっている印象だ。主演は浜辺と北村に加え、福本莉子、赤楚衛二の4人。彼ら4人で“恋の押し引き”を展開しているが、やはり浜辺と北村の方が他の二人よりキャリアがある。こと演技面に関しては、“押し”とは周囲(相手)を“牽引する”ことを指し、“引き”とは“支える”ことを示している。浜辺と北村のこんなはたらきによって、福本と赤楚もより輝いているように思えるのだ。

『思い、思われ、ふり、ふられ』(c)2020映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 (c)咲坂伊緒/集英社

 さて、『キミスイ』からの3年間の何が、この二人の演技に反映されているのだろうか。前作は“その瞬間”を生きる若い男女の物語とあって、懸命さ、ひたむきさが全面に出ていたように思うが、本作では違う。“目は口ほどに物を言う”とはよくいったものだが、まさにこれである。説明的なセリフや、抑揚の効いたセリフ回しに頼ることなく、視線のやりとりだけで男女間の心の揺れをスクリーンに映し出しているのだ。そこには等身大に近いリアルな高校生の姿ではなく、着実に経験を積んできた演技者が高校生を演じている姿がある。これがなければ、今作のようなシックなタッチにはなっていなかったのではないだろうか。

 またも学園モノでの共演ではあったが、『キミスイ』とは異なる恋模様を展開させた浜辺美波と北村匠海。俳優としての成長、人間としての成長、そして純粋に年齢を重ねたこと。これらは確実に本作『ふりふら』に見られるように思う。学生服を脱ぎ捨てた二人の共演が、早くも楽しみである。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■公開情報
『思い、思われ、ふり、ふられ』
全国公開中
出演:浜辺美波、北村匠海、福本莉子、赤楚衛二
原作:咲坂伊緒『思い、思われ、ふり、ふられ』(集英社『別冊マーガレット』連載)
監督:三木孝浩
脚本:米内山陽子、三木孝浩
配給:東宝
(c)2020映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 (c)咲坂伊緒/集英社
公式サイト:https://furifura-movie.jp/

■放送情報
『君の膵臓をたべたい』
日本テレビ系にて、9月4日(金)21:00〜23:14 ※放送枠20分拡大
出演:浜辺美波、北村匠海、大友花恋、矢本悠馬、桜田通、森下大地、北川景子、小栗旬
原作:住野よる『君の膵臓をたべたい』(双葉社刊)
監督:月川翔
脚本:吉田智子
(c)2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 (c)住野よる/双葉社

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