『半沢直樹』に彩を与える3人の女性 上戸彩、今田美桜、井川遥は暑苦しい画面の清涼剤に?

『半沢直樹』に彩を与える女優たち

紅一点で半沢らの戦いに食らいつく社員・浜村瞳/今田美桜


 男だらけの東京セントラル証券のなか、紅一点で半沢らの戦いに協力しようと食らいついていく社員・浜村瞳を演じている今田。新シリーズの前に放送されたスピンオフ『半沢直樹 スピンオフ企画 狙われた半沢直樹のパスワード』(TBS系)で同役を演じ、本編でもそのままの出演となった。スピンオフでは、自身の仕事に悩みを持つ女性社員だったが、本編では地に足をつけて会社の一員として、半沢の力になろうと能動的に動く。老獪な登場人物が多いなか、脆さを抱えながら強く立とうとする清廉さは、花の役割とは違うものの、劇中において一服の清涼剤となっている。

 今後どう展開していくか分からないが、第3話では、スピンオフで距離が縮まったスパイラルの天才プログラマー・高坂圭(吉沢亮)との関係性も少し垣間見ることができた。『半沢直樹』では、登場人物の恋愛模様が描かれることはほぼないだけに、この二人のやりとりには、ほのぼのさせられた。今田自身、“強い女の子”を演じることが多く、そのなかに弱さや脆さをどれだけにじませることができるのか……浜村の活躍と共に今田の演技にも注目が集まる。

味方なのか敵なのか、小料理屋の女将・智美/井川遥


 もう一人、ドラマオリジナルキャラクターとして登場している小料理屋の女将・智美役の井川。こちらは現時点では、東京中央銀行の個人株主であることと、銀行の内部事情に詳しいということしか明らかになっていないが、渡真利や半沢が意味ありげな視線を智美に送っているところをみると、のちのち物語に大きく絡んでくる匂いがする人物だ。

 井川と言えば、醸し出す雰囲気から“癒し系”として一世を風靡したが、女優としも数々の映画やドラマに出演。2013年にはNHKドラマ『ガラスの家』で連続ドラマ初主演を果たすと、妖艶な芝居を見せ、大きな反響を呼んだ。ちなみに本作には、オネエ黒崎こと片岡愛之助も出演していた。

 智美は半沢にとって味方なのか敵なのか、まだ分からないが、前シリーズの壇蜜演じる藤沢未樹のような存在になり得る可能性もある。こちらも今後の展開に注目だ。

 『半沢直樹』を彩る3人の女性。それぞれまったくタイプは違うが、彼女たちの視点から物語を見るのも面白いかもしれない。

■磯部正和
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

■放送情報
日曜劇場『半沢直樹』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:堺雅人、上戸彩、及川光博、片岡愛之助、賀来賢人、今田美桜、池田成志、山崎銀之丞、土田英生、戸次重幸、井上芳雄、南野陽子、古田新太、井川遥、尾上松也、市川猿之助、北大路欣也(特別出演)、香川照之、江口のりこ、筒井道隆、柄本明
演出:福澤克雄、田中健太、松木彩
原作:池井戸潤『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社)、『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』『半沢直樹4 銀翼のイカロス』(講談社文庫)
脚本:丑尾健太郎ほか
プロデューサー:伊與田英徳、川嶋龍太郎、青山貴洋
製作著作:TBS
(c)TBS

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