松本まりかにようやく時代が追いついた? “怪演”の裏にある確かな演技力

松本まりかにようやく時代が追いついた?

 もちろん、そうしたセンセーショナルな演技のみならず、緩急も使い分けられるのが松本が稀有な存在である理由の一つ。『神酒クリニックで乾杯を』(BSテレ東)では、“存在自体フェロモン”という女医を余裕ある大人の演技で魅せ、『死役所』(テレビ東京系)では過激な演技を排除し、全く笑わないクールな役を演じていた。

 現在放送中の小芝風花主演『妖怪シェアハウス』では、松本は四谷伊和こと四谷怪談のお岩さんを演じている。お岩さんと言えば、夫に裏切られ、毒を盛られた恨みを抱える「恨めしや~」でおなじみの幽霊。この役の面白いところは、不倫劇に多く出演し、そして裏切られる結末が多い役の松本が、男の裏切りを許せないセルフパロディのようなキャラを演じていること。

 第1話では、澪を裏切った彼氏を問い詰めるのだが、「澪の気持ちが重たかった」と告白され、それを自分と重ね合わせ「300年も逆恨みしてたってこと? 恥ずかしくって生きていけない」とふさぎこむ姿は、松本が演じてきた、男に一途過ぎたキャラクターたちの存在を、作品を超えて示唆しているようで、まさに松本のキャリアがあるからこそよりユーモラスに映る。

 最近は、極端な演技をすれば安易に“演技派”と呼ばれてしまう傾向にあるが、松本には、長いキャリアの中で培ってきた確かな演技力があってこその怪演の面白さがある。今後も様々な役で重宝されていくだろうし、まだまだ“松本まりか劇場”を楽しみたい。

■放送情報
『妖怪シェアハウス』
テレビ朝日系にて、毎週土曜23:15~24:05放送
出演:小芝風花、松本まりか、毎熊克哉、池谷のぶえ、内藤理沙、大東駿介、味方良介、柾木玲弥、宮本茉由、大倉孝二
脚本:西荻弓絵、ブラジリィー・アン・山田、綿種アヤ
演出:豊島圭介、山本大輔
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:飯田サヤカ(テレビ朝日)、宮内貴子(角川大映スタジオ)
制作:テレビ朝日
制作協力:角川大映スタジオ
(c)テレビ朝日
公式Twitter:https://twitter.com/youkaihouse5
公式Instagram:https://www.instagram.com/youkaihouse5/

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