篠原涼子が最終話で伝え続けた“ムダ” 『ハケンの品格』が描いた“働くことは生きること”の真髄

『ハケンの品格』最終話で伝えた“ムダ”

 一時は多くの社員がリストラの危機にあったS&Fの仲間たちだが、その後の歩みは様々だ。浅野(勝地涼)、東海林は課長となりマーケティング課を牽引している。宇野(塚地武雅)と三田(中村海人)もS&Fに残り、職務を全うしていた。里中は独立し、お惣菜の会社Ajiを立ち上げる。派遣社員でS&Fにいた亜紀(吉谷彩子)と小夏(山本舞香)は正社員としてAjiに入社、井手(杉野遥亮)も“念願”の派遣社員として共に働く。

 それぞれが思い描く「仕事」に従事し、顔を綻ばせていた。そして派遣切りにあってしまい、涙ながらにS&Fを去った春子はというと、長年の夢であった演歌歌手となってAjiのオープンの日に訪れる。春子もまた、自分の夢を叶え東海林らの元に姿を表したのだ。春子がS&Fと築いてきた関係を長い間見守ってきた私たちにとって、この別れと出会いはまるで自分のことのように胸を高鳴らせる瞬間となった。

 こうして今一度物語にピリオドを打つ『ハケンの品格』は、人にとって忘れてはいけない大切なものを思い出させてくれるお仕事ドラマとなったにちがいない。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
『ハケンの品格』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜23:00放送
出演:篠原涼子、小泉孝太郎、勝地涼、杉野遥亮、吉谷彩子、山本舞香、中村海人(Travis Japan)、上地雄輔、塚地武雅(ドランクドラゴン)、大泉洋(特別出演)、伊東四朗
脚本:中園ミホほか
演出:佐藤東弥、丸谷俊平
プロデューサー:櫨山裕子、山口雅俊、秋元孝之
チーフプロデューサー:西憲彦
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ

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