ディズニー2020年の超目玉作『ムーラン』、「世界各国で配信リリース」の衝撃

ディズニー2020年の超目玉作『ムーラン』、「世界各国で配信リリース」の衝撃

 先週末の動員ランキングは、『今日から俺は!!劇場版』が、土日2日間で動員23万1000人、興収2億7600万円をあげて3週連続首位を獲得。8月2日(日)までの時点で、累計の動員では208万人、興収では26億円を突破している。2週連続で2位にピタリとつけているのは『コンフィデンスマンJP プリンセス編』。土日2日間の動員は18万9000人、興収は2億4000万円。累計では動員113万人、興収15億円を突破している。それにしても、上位8作品の順位にまったく変動なし、トップ10に初登場した2作のうち1作はリバイバル上映(『ダンケルク』)というこの最新ランキングはかなり深刻だ。

 何が深刻かというと、ハリウッドのメジャー作品の供給が完全に止まっていて、日本映画のメジャー作品も複数作品が公開延期となって、日本全国の劇場が全面的に営業再開してから2ヶ月以上が経って、例年ならば書き入れ時のサマーシーズンに入っても、マーケットには有力な新作が圧倒的に不足しているのだ。実は『今日から俺は!!劇場版』と『コンフィデンスマンJP プリンセス編』の快進撃には、他に有力作がないから各シネコンチェーンが異例のスクリーン数を割くことができているという背景がある。つまり、当初、観客をすべて収容できるかどうか不安視されていた「ウイルス感染予防のために客席を間引いての興行」は、「新作不足」というこれ以上ないほどネガティブな理由によって、結果的に問題化していないだけという皮肉な現象が起こっているのだ。

 3月の公開延期を経て、今週末にようやく公開される運びとなった『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の興行について当コラムで5月に書いた記事(参考:ようやく再開に向けて動き始めた映画興行 「平常化」の前に映画ファンができること)に対して、映画関連の著作も多い書き手から「映画界の明日は、ドラえもんにかかっているらしい」という揶揄ともとれるツイートがあって、そのツイートがまた同じように映画関連の著作も多い書き手によってリツイートされていた。先週、『今日から俺は!!劇場版』と『コンフィデンスマンJP プリンセス編』のヒットを肯定的にとらえた当コラムの記事(参考:『今日から俺は!!』に続いて『コンフィデンスマンJP』も大ヒット 興行を救ったのは若者だった)に対しては、これも映画関係者から「両方『ヒットドラマの劇場版』なので、『映画』にとって、明るい話ではないのだ。稼げさえすれば何でもいい、という館側は違うだろうけれど」というリアクションがあった。配給や興行に直接関わっている関係者が現在抱いている未曾有の危機感や切迫感を直接耳にしている立場からすると、その呑気さには怒りを通り越して呆れてしまうが、きっとそういう人たちは自分が死ぬまで「過去の映画」について書いたり語ったりしているだけで幸せなのだろう。

 しかし、「映画の歴史」という言葉の射程には、「過去の映画」だけでなく「未来の映画」も含まれる。今、危機に瀕しているのはその「映画の歴史」だ。新型コロナウイルスの感染拡大に未だ歯止めがかからないアメリカでは、公開延期を経て一度は決まった有力作の新しい公開日が続々と白紙撤回されている。8月5日、遂にアメリカのウォルト・ディズニー・カンパニーは公開延期を繰り返していた2020年の超目玉作品、及び中国マーケットに向けての超重要戦略作品として位置づけられていたアクション大作『ムーラン』の、ディズニープラスでの有料配信リリースを発表した。対象国となるアメリカ、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ各国では、劇場公開そのものがおこなわれない見込みだ(ディズニープラスとは名ばかりで、4K映像での配信をおこなっていないことを筆頭に、他国でのサービスと比べて作品ラインナップだけでなくインフラ的にも大きく見劣りする日本でのディズニープラスでの対応については今のところ発表はない)。

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