『私の家政夫ナギサさん』で描かれた様々な“決断” 新たな呪いの発動も

『わたナギ』で描かれた様々な“決断”

 この風通しの良さこそが、現代女性たちの呪いを解くカギなのかもしれない。家事とは、炊事、洗濯、掃除などの作業を通じて、家族にとって居心地のいい空間を作り出すことそのもの。ならば、家族のうち誰がそれらを手がけてもいいはず。なのに、いまも女性だから家事をしなければという感覚にとらわれている人が少なくない。

 性別やポジションではなく、家の中を快適にするのは、その家に集うメンバーみんなのミッションだ。そして、まるで家族の問題は、散らかった部屋と同じ。放置してしまうと、どこから手をつけたらいいのかわからなくなる。

 だから、もし自分で片付ける方法がわからなくなってしまったら、プロを頼ってみるのも一つの手。整頓されてお互いの表情がよく見えるようになったら、自分の思いを素直に伝えるのだ。心に決めたことを告げるのは、とても勇気がいる。もちろん、その発言でまた家の中は散らかることになる。それが、生活をするということなのだから。

 そして、第5話で印象的だったのは「決断」というフレーズだ。特に今回はメイの周囲にいる“おじさん”たちが次々と決断をしていく。副支店長の松平(平山祐介)は栄転を受け入れ、馬場(水澤紳吾)は育休取得を決め、そして茂も先陣を切って思ったことを言える家族を作ろうと宣言する。さらに、ナギサさんもメイに過去を明かすことに……。

 決断の先には、新しい世界が待っている。時間は不可逆。もう決断前の世界には戻れない。ナギサさんに、メイが就活で落ちた大手企業のMR経験が発覚したことで、2人の関係はどう変化するのか。非常に楽しみな展開だ。

 また、メイ自身も結婚についての決断を真剣しなければならないタイミング。美登里と唯の確執が解消された途端、今度は「次はメイね」の呪いが発動してしまった。人生は決断の連続であり、呪いとの戦いには終わりがなさそうだ。家事に終わりがないようにしんどい毎日だが、それでも悔いなく生きるためのヒントがきっとあるはず。来週もナギサさんの笑顔に癒やされながら、一緒に整理をしていこう。

■番組概要
火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜放送
出演:多部未華子、瀬戸康史、眞栄田郷敦、高橋メアリージュン、宮尾俊太郎、平山祐介、水澤紳吾、岡部大(ハナコ)、若月佑美、飯尾和樹(ずん)、夏子、富田靖子、草刈民代、趣里、大森南朋
原作:『家政夫のナギサさん』(四ツ原フリコ著/ソルマーレ編集部)
脚本:徳尾浩司
演出:坪井敏雄、山本剛義
プロデューサー:岩崎愛奈(TBSスパークル)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
(c)四ツ原フリコ/ソルマーレ編集部

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる