『竜の道』切なすぎる兄妹の邂逅 回を追うごとに存在感が強くなる松本穂香がキーパーソンに?

『竜の道』切なすぎる兄妹の邂逅

 「美佐にとって俺は死んでた方が良い」とする竜一。そんなことを知らずとも花火を見て涙する竜一に「色々ありますよね。色々あっても、ない振りして生きていくしかないし」とハンカチを差し出す美佐。

 確かに一番の自己犠牲を強いてこの復讐に臨んでいるのは竜一に違いなく、その意味では「弟、妹には表の社会で堂々と過ごしてほしい」という竜一の願いは叶っているかのようだ。ただ、竜一の復讐計画のために運命共同体として進む竜二、そして大好きだった兄を突然亡くした美佐、竜一と美佐の間で揺れる竜二、やはり3人全員に「色々悲しいことがあっても、ない振りして生きていくしかない生き方」を強いてしまっている。

 美佐が今なお「私にはもう1人兄がいる」と、過去形ではなく現在進行形で話す姿に竜一は何を思っただろうか。やはりどこかで嬉しく安堵したのだろうか。固く閉ざした竜一の心に隙が出来るほどの無邪気さと、今は亡きものをずっと大切に思い続けられる強さを持つ美佐役に、松本穂香を抜擢した配役にも改めて唸らされる。決して強い主張をするわけではない本作での役どころでも存在感が回を追うごとに強くなる。甘えるような妹的存在感ではなく、真っ直ぐで強い信念を秘め、簡単には誤魔化せないであろう手強ささえも既に滲ませ、今回の復讐計画のキーパーソンになるのであろうことを予感させる。

 今後、この美佐との出会いが復讐計画にどんな影響を与えていくのか。また、竜二が美佐に対して抱いている感情が兄妹以上のものであるかのような描写もちらほらと見受けられるように思う。これから3人の関係がどう変化していくのかも祈るような気持ちで見守っていきたい。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『竜の道 二つの顔の復讐者』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:玉木宏、高橋一生、松本穂香、細田善彦、奈緒、今野浩喜、渡辺邦斗、西郷輝彦(特別出演)、松本まりか、斉藤由貴、遠藤憲一ほか
原作:白川道 『竜の道』 (幻冬舎文庫)
脚本:篠崎絵里子(「崎」は「たつさき」が正式表記)、守口悠介
音楽:村松崇継
主題歌:SEKAI NO OWARI 「umbrella」(ユニバーサル ミュージック)
オープニング曲:ビッケブランカ 「ミラージュ」(avex trax)
プロデュース:米田孝、水野綾子
演出:城宝秀則、岩田和行、紙谷楓、吉田使憲
制作:カンテレ、共同テレビ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/ryu-no-michi/
公式Twitter:https://twitter.com/ryunomichi_ktv

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