『アンサング・シンデレラ』が描く薬剤師の成長 石原さとみ、田中圭、桜井ユキが追求するもの

『アンサング・シンデレラ』薬剤師の成長

 さらに第6話では、くるみがついに服薬指導に挑戦する。初めは薬剤師の仕事に対して熱い気持ちを持たずに挑んでいたくるみであったが、みどりや瀬野(田中圭)、刈谷と共に患者と向き合う中で、徐々にやりがいを見いだせるようになる。新たに服薬指導を任された際には、嬉しそうに顔をほころばせた。

 みどりが中堅としてキャリアを積み、患者との向き合い方を模索する一方で、くるみは新人がぶつかる壁を一つひとつクリアしようと奮闘する。さらには瀬野や刈谷のようなキャリアのある薬剤師のバックグラウンドも描かれ、薬剤師という仕事が抱える様々な問題や患者と向き合う際のジレンマなどが丁寧に映し出された。くるみの成長を通して丹念に描かれるのは、まさに指導を担当する萬津総合病院薬剤部の経験や価値観でもあるのだ。

 誠意のある薬剤師の中で、くるみが温かい気持ちを持った“正しい指導”のできる薬剤師に成長していく様子は、ドラマを観る側の心をも晴れやかにする。くるみのフレッシュな魅力はまさしく一服の清涼剤のような心地よさを本作に与えているだろう。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:石原さとみ、西野七瀬、成田凌、桜井ユキ、井之脇海、金澤美穂、真矢ミキ、迫田孝也、池田鉄洋、でんでん、田中圭
原作:『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』荒井ママレ/医療原案:富野浩充(『月刊コミックゼノン』連載/コアミックス)
脚本:黒岩勉
プロデュース:野田悠介
演出:田中亮
制作・著作:フジテレビ第一制作室
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/unsung/
公式Twitter:@unsung2020

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