中村ゆりかの武器は“声”にあり 『ギルティ』『女子高生の無駄づかい』など漫画原作にハマる理由

中村ゆりかの武器は“声”にあり

 今回の怪演をきっかけに、2018年のドラマ『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)にて、可愛らしい容姿と無邪気な仕草で他人の夫を翻弄し、計算ずくで奪おうとする井筒里奈役で話題となった松本まりかと比較されやすい中村だが、2人はどちらもその「声」が印象的だ。パッチリとした二重に、ナチュラルだが色気のあるヘアスタイルとメイク……容姿もさることながら、2人が持つ少し掠れた艶やかな声は、たとえ画面を観ていない時でも耳に残る。役柄に合わせて男性に媚びるように発せられる甘い声だが、けっして嫌味はない。松本は持ち前の声を活かし、アニメの声優やナレーターとしても活動。ロボットアニメ『蒼穹のファフナー』の遠見真矢役や、『ファイナルファンタジーX』のリュック役など、諏訪部順一や木村良平、諸星すみれら豪華声優陣と声を並べても違和感がないほど、演じるキャラクターに声がマッチしている。

 一方、中村は声優経験こそないものの、2018年に放送開始15周年を迎えたアニメ『プリキュアシリーズ』とコラボしたドラマ『声ガール』(テレビ朝日系)に出演。プロの声優から本格的なレッスンを受け、期待の新人声優・栗山麻美役に挑戦した。中村の声は今回のような“あざとい”役柄だけではなく、漫画・アニメ原作の作品にも活かされている。

 例えば、映画化もされた『賭ケグルイ』シリーズの五十嵐清華や『左ききのエレン』(MBS系)の加藤さゆり役でクールな美女を熱演。漫画原作のドラマや映画は原作が人気であればあるほど、抱えるプレッシャーも大きいだろうが、その中でも中村は原作ファンの支持をしっかりと獲得してきた。

 特に今年1月に放送された『女子高生の無駄づかい』(テレビ朝日系)は前年のアニメ化も好評だったが、ドラマ版を観た視聴者からは感情が“死んでいる”ロボこと鷺宮しおり役を務めた中村に関して、「ハマり役」「ロボにそっくり!」とSNS上で話題に。アニメや漫画のキャラクターの実写版としての起用がこれほどまでに相次ぐ理由には、透明感あふれる美しさに加え、彼女の武器の一つである「声」が関係しているに違いない。

 『ギルティ』も累計発行部数150万部の大人気漫画を原作とした作品であり、主人公を追い詰める悪役だけにこれまで以上の難しさもあっただろう。しかし、観れば観るほど、声を武器に周囲を惑わしていく彼女の魅力にこちらも翻弄されていく。物語も終盤に差し掛かり、中村が演じる瑠衣は数々の裏切りにより成長した爽の反撃を受けているが、母親(矢田亜希子)の虐待により傷つき、時折寂しそうな表情を浮かべる彼女の行く末も気になるところ。果たして、瑠衣は復讐の末に欲しいものを手に入れ、“悪役”を全うするのか。それとも、その傷が癒され、本当の笑顔を見せるのか。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
プラチナイト 木曜ドラマF『ギルティ~この恋は罪ですか?~』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週木曜23:59〜放送
出演:新川優愛、町田啓太、中村ゆりか、神尾楓珠、阿部亮平、長井短、結城モエ、筧美和子、大西礼芳、徳永えり、戸田菜穂、小池徹平
原作:丘上あい『ギルティ~鳴かぬ蛍が身を焦がす~』(講談社 ビーラブKC)
脚本:泉澤陽子、大林利江子ほか
演出:河原瑶、林雅貴ほか
主題歌:Toshl「BE ALL RIGHT」(ユニバーサル ミュージック)
スタッフ:チーフプロデューサー:岡本浩一(読売テレビ)
プロデューサー:中間利彦(読売テレビ)、黒沢淳(テレパック)、水野督世(テレパック)
制作協力:株式会社テレパック
制作著作:讀賣テレビ放送株式会社
(c)読売テレビ

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