『今日から俺は!!』に続いて『コンフィデンスマンJP』も大ヒット 興行を救ったのは若者だった

興行を救ったのは若者だった

 日本でコロナ禍を吹き飛ばすような大ヒット作が連発していることは、海外の映画メディアでも驚きとともに報じられている。アメリカの有力メディアVarietyも、「多くのハリウッド大作や国内製作の大作の公開が延期されたことで、日本の夏の映画興行は低迷することが懸念されていたが、若い観客が映画館に戻ってきている」(参考:https://variety.com/2020/film/asia/japan-box-office-life-after-coronavirus-1234717987/)と、やはり観客の年齢層の若さに注目していた。

 近年の日本の映画界、特にメジャー映画会社が製作する作品では、社会全体の少子高齢化も鑑みてのことだろう、中年や高年齢層の観客を想定して手堅くヒットを狙う作品が増加傾向にあった。もちろん、そうした長期的な試みも重要なのだろうが、「コロナ以降」の一連の出来事が示しているのは、若い観客を継続的に映画館に足を運んでくれる「いい観客」に育てることの重要性なのではないだろうか。裏を返せば、これまで日本の映画界が「いい観客」を育ててこなかったことが、この驚くほど冷たい、コロナ禍のエンターテインメントへの「世間」の温度を作ってしまったとも言えるわけだが。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「装苑」「GLOW」「キネマ旬報」「メルカリマガジン」などで批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。最新刊『2010s』(新潮社)発売中。Twitter

■公開情報
『コンフィデンスマンJP プリンセス編』
全国公開中
出演:長澤まさみ、東出昌大、小手伸也、小日向文世、関水渚、古川雄大、白濱亜嵐、柴田恭兵、北大路欣也、竹内結子、三浦春馬、広末涼子、織田梨沙、ビビアン・スー、滝藤賢一、濱田岳、濱田マリ、デヴィ・スカルノ、石黒賢、前田敦子、生瀬勝久、江口洋介
監督:田中亮
脚本:古沢良太
主題歌:Official髭男dism「Laughter」(ポニーキャニオン/ラストラム・ミュージック・エンターテインメント)
配給:東宝
制作プロダクション:FILM
製作:フジテレビ・東宝・FNS27社 
(c)2020「コンフィデンスマンJP」製作委員会
公式サイト:http://confidenceman-movie.com 
公式Instagram:https://www.instagram.com/confidenceman_jp/
公式Twitter:https://twitter.com/confidencemanJP

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