新たな法廷もののジャンルを切り開いた『99.9』 一度ハマると抜け出せないその魅力

『99.9』新たな法廷ものジャンルを開拓

 2話連続の後編は、片桐仁(ラーメンズ)演じるパラリーガル明石の身体を張った活躍が見ものであった。とにかく転びまくり、バナナの皮で滑ったうえにハチにめった刺しにされる「そんなバナナ」と「泣きっ面に蜂」のダブルコンボやフロア全員でのクイーン「WE WILL ROCK YOU」地団駄まで、同じくパラリーガルの藤野を演じるマギーとともに、『99.9』のギャグサイドのテンションを一手に担っていた。

 『99.9』の芸人枠では、2人の他に、最終夜で阿佐ヶ谷姉妹(渡辺江里子・木村美穂)も登場。「いとこんち」客では、第4夜のエレキコミック(今立進・やついいちろう)に続いてどぶろっく(森慎太郎・江口直人)も参戦した。SEASON IIは馬場園梓(アジアン)も加わり、ちょっとした漫才の舞台になっている。

 高まる一方のギャグ濃度に対して、恋愛要素は、相変わらず加奈子(岸井ゆきの)から深山への一方的な片思いのみというアンバランスさも本作の特徴。シリアスなストーリー進行と対照的な『99.9』ワールドには、一度ハマると抜け出せない魅力がある。

 連続ドラマで刑事専門弁護士を初めて扱った『99.9』であるが、その後、『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)などの作品が続いている。新たな法廷もののジャンルを切り開いたと言えるが、元祖として『99.9』の新シーズンを目にできる日を楽しみに待ちたい。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
『99.9-刑事専門弁護士- SEASON I 特別編』
出演:松本潤、香川照之、榮倉奈々、青木崇高、片桐仁、マギー、渡辺真起子、馬場徹、映美くらら、池田貴史、岸井ゆきの、藤本隆宏、奥田瑛二、岸部一徳
脚本:宇田学
演出:木村ひさし、金子文紀、岡本伸吾
プロデューサー:瀬戸口克陽、佐野亜裕美、東仲恵吾
トリック監修:蒔田光治
主題歌:嵐「Daylight」(ジェイ・ストーム)
製作著作:TBS
(c)TBS

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