「収容人数50%以内」を巡る外国映画と日本映画の異なる事情

収容人数を巡る外国映画と日本映画の事情

 先週末の動員ランキングは、全国347スクリーンで公開されたロバート・ダウニー・Jr.主演の『ドクター・ドリトル』が初登場1位に。興行通信社から数字も久々に発表されていて、土日2日間で動員8万1500人、興収1億1300万円と、ようやく平常時の数字に少し近づいてきた。2位は先週から引き続き『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』。公開から10日間の動員は約10万5000人、興収は約1億4000万円。日本のメジャー映画会社が新作の公開を次々に見送っている中、パンデミックによる劇場閉鎖明けという歴史上最悪のタイミングで、それでもスクリーンに幅広い観客層を対象にしたエンターテインメント作品を提供してくれたのが、ソニー・ピクチャーズと東宝東和という外国映画の配給会社であったことは忘れずにいたい。

 厚生労働省の指導によると、現在、映画館を含む屋内イベントの収容率の上限は50%とされている。主に屋内でのコンサートを想定した収容人数に関しては、6月19日以降1000人まで、7月10日以降5000人まで、8月以降に人数制限撤廃という流れは示されてはいるが、上限の収容率50%という数字はそこでも残る。つまり、映画館に関しては、各劇場の判断で現在でも50%までは収容できるものの、このままでは当面その状況が続くことになるわけだ。

 各社年に数本の肝入り大作や人気が定着したシリーズ作品ではない限り、興収10億円あたりが目標となるメジャーの外国映画と違って、人気俳優が出演する日本映画のメジャー作品となると20〜30億円以上が目標となる。現実的に、現在の場内収容率でその水準の成績を出すのは非常に困難なわけだが、それをふまえると7月23日に公開日(当初の公開予定日は5月1日)が決定した『コンフィデンスマンJP プリンセス編』はかなり思い切った判断をしたことになる。なにしろ、昨年の5月に公開された前作『コンフィデンスマンJP ロマンス編』は最終興収29.7億円を記録しているのだ。

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