窪田正孝、『エール』を成立させる主演としてのすごみ 裕一とシンクロする役者としての成長

窪田正孝、裕一と重なる役者としての成長

 そして、役者としての窪田を語る上で欠かすことのできないのが、三郎を演じる唐沢寿明の存在だ。前回共演した『THE LAST COP/ラストコップ』(日本テレビ系)では義理の父子として、今作では本当の親子の繋がりである2人。プライベートでも家族ぐるみの仲で、主演を務める窪田のために唐沢はスケジュールを空けていたほどである。「君の夢は僕の夢でもある」。先述したこのセリフは、裕一に対する三郎への思い、そしてNHKの看板を背負う窪田への唐沢からの期待にもそのまま当てはまる。上京する裕一を一人送り届ける三郎、死期迫る三郎が裕一と抱き合う光景は、役柄を超えて、魂を継承するような美しさを放っていた。

 第14週以降の『エール』では、夫として、父として生きる裕一が、戦争の時代に突入していく。今後、厳しい作曲家人生を歩んでいく裕一は、時に悲嘆にくれ、夫婦で苦境を乗り越えていくことだろう。裕一との“シンクロ”を経て、窪田の役者としての挑戦は続いていく。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)予定
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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