『思い、思われ、ふり、ふられ』『きみの瞳が問いかけている』にも期待 必見の三木孝浩監督作は?

必見の三木孝浩監督作品に見るその手腕

『きみの瞳(め)が問いかけている』の主題にも連なるーー『フォルトゥナの瞳』(2019年)

 今秋公開予定の『きみの瞳(め)が問いかけている』は、ソ・ジソブ主演の韓国映画『ただ君だけ』(2011年)のリメイク作だ。どれくらい改変された箇所があるのか不明だが、愛する人のため、主人公が奮闘する“大人のラブストーリー”が期待できるのは間違いない。そしてここに連なる作品といえば、昨年公開された『フォルトゥナの瞳』を思い出す。

フォルトゥナの瞳 DVD通常版

 同作では、孤独に生きてきた一人の青年(神木隆之介)が、ある女性(有村架純)と出会い、愛し、生きる喜びを知る姿が描かれていた。しかし彼は、“死期の近い人間が透けて見える”という不思議な力を持っていて、愛する女性が“死の運命”にあることを知ってしまう。そこで彼は、彼女を死から守るため、命を懸けて運命を変えようとするのだ。このようなシリアスな作品でも、堅実な手腕を発揮する三木監督。本作の主題として見出すことができるのは、「自己犠牲」や「献身愛」といったものだろう。これらは、『きみの瞳が問いかけている』の原案である『ただ君だけ』の主題でもある。両作には必ずや、通ずるものがあるはずだ。

 繊細かつ大胆な手さばきで、“原作モノ”を世に放つ三木孝浩監督。彼の手にかかれば、すでに多くのファンを獲得している小説やマンガが、新たな旨味を持った逸品として誕生する。タイプ違いの二作品の公開を控えている今年、ぜひいまのこのタイミングにこそ、彼の生み出してきた作品たちの味の違いを、堪能していただきたい。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■公開情報
『思い、思われ、ふり、ふられ』
8月14日(金)公開
出演:浜辺美波、北村匠海、福本莉子、赤楚衛二
原作:咲坂伊緒『思い、思われ、ふり、ふられ』(集英社『別冊マーガレット』連載)
監督:三木孝浩
脚本:米内山陽子、三木孝浩
(c)2020映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会 (c)咲坂伊緒/集英社

『きみの瞳(め)が問いかけている』
今秋、全国ロードショー
出演:吉高由里子、横浜流星、やべきょうすけ、田山涼成、野間口徹、奥野瑛太、般若、森矢カンナ、坂ノ上茜、町田啓太、風吹ジュン
監督:三木孝浩
配給:ギャガ
(c)2020「きみの瞳が問いかけている」製作委員会
公式サイト:gaga.ne.jp/kiminome/

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