映画『キングダム』は見事な実写化作品! 大作アクション邦画の意地と観客に対する誠意

『キングダム』は邦画の意地を感じさせる

 そして要とも言えるアクション描写だが、そちらも多くの試みがされている。佐藤信介監督とアクション監督の下村勇二のコンビは『アイアムアヒーロー』や『いぬやしき』などでも迫力のあるアクションを作り上げているが、今作もワイヤーなどを駆使するなどして、アクロバティックな動きをたくさん見せており、いい意味で型から外れたアクションを堪能することができる。また坂口拓が演じた左慈と信の対決の場面は特に圧巻だ。アクション俳優として注目度の高い坂口拓との対峙を描くことにより、映画としての説得力がある作品となっている。

 説明セリフの多さに少し、テンポが損なわれている印象もあったが、本作が大ヒットを記録したことに筆者は胸を撫で下ろすような思いがあった。美術なども含めて様々な面で作り込まれており、役者の熱演やスタッフの熱量をひしひしと感じさせる作品で、大作アクション邦画の意地と観客に対する誠意を感じた。どうしてもアクション映画と聞くと、ハリウッド大作を思い浮かべがちではあるものの、それに負けじと対抗する気概が『キングダム』のような新たなる傑作を生み出してくれるのではないだろうか。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

■井中カエル
ブロガー・ライター。映画・アニメを中心に論じるブログ「物語る亀」を運営中。
@monogatarukame

■放送情報
『キングダム』
日本テレビ系にて、5月29日(金)21:00〜23:39放送
※放送枠45分拡大、本編ノーカット
出演:山崎賢人、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、満島真之介、阿部進之介、深水元基、六平直政、髙嶋政宏、要潤、橋本じゅん、坂口拓、宇梶剛士、加藤雅也、石橋蓮司、大沢たかお
原作:原泰久『キングダム』(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)
監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉、佐藤信介、原泰久
(c)原泰久/集英社 (c)2019映画「キングダム」製作委員会
公式サイト:kingdom-the-movie.jp

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