『エール』古関裕而の代表曲「紺碧の空」ついに披露 応援歌はなぜ愛されるのか?

「紺碧の空」の親しみやすさと懐かしさ

「私が野球の“慶早戦”を観戦したのは、恐ろしいことにもうかれこれ30年近く前の話になるので、今とは多少状況が違うとは思いますが、当時“慶早戦”のチケットを取るのは非常に困難で、私も前日の夜から徹夜で並んでスタンド席のチケットを入手した記憶があります。その人気の理由はいくつかあると思いますが、5月末から6月頭にかけて行われる“春の慶早戦”に関しては、その絶妙な時期設定も大きく関係しているように思います。意気揚々と大学に入学して、サークルなどの新歓コンパも終え、そろそろ友人ができ始めた頃に行われる、大学の看板を掛けた一大行事。しかも、相手は何かと比較されることの多いライバル校・早稲田です。うっすらと芽生え始めた“愛校心”を発露するにはまたとない機会、そして新しい友人と一体感を得るには絶好のイベント、それが“春の慶早戦”なのです。恐らくそれは、相手方である早稲田の学生にとっても同じことだったでしょう。それはもはや、単なる野球の試合ではなく、“憧れのキャンパスライフ”を充実させるべく挑む最初の一大イベントであり、試合の勝敗以外のところで、さまざまな悲喜こもごもが繰り広げられる、とても重要なイベントなのです。

 そして、その際に大きな役割を果たすのが、いわゆる“応援歌”……慶應の場合でしたら『若き血』なのです。やや個人的な話にはなりますが、必しも大学のメインストリームにいたとは言えない自分ですら、なぜかその曲調はもちろん、歌詞に至るまで覚えている。『慶應に入ったのならば、『若き血』ぐらいはソラで歌えるようにならなくては……』と思っていた人は、けっして少なくなかったように思いますし、『若き血』の場合は、たとえそれが見知らぬ異性であっても、となりに居合わせた人と肩を組んで歌うことが推奨されているのです。これは覚えないわけにはいきませんよね。失礼、話が脱線しました。つまり何が言いたいかと言うと、“応援歌”というのは、もちろん何よりも選手たちを“応援する”ために歌うものではあるのですが、それと同時に応援している自分たちを鼓舞し、その一体感を高める効果もあるということです。だからこそ、これほどまで長くのあいだ愛され、歌い続けられているのでしょう」

 いよいよお披露目となる「紺碧の空」。裕一はスタンドでどんな気持ちで曲を見届けるのか。これまで歌い継いできた人々へ思いを馳せながら、本日の放送を見届けたい。

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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