山田裕貴は役を“生きる” 熱い生き様を見せた必見の3作

山田裕貴、熱い生き様を見せた必見の3作

『あの頃、君を追いかけた』(2018年)

 本作で山田では主演を務めた。台湾で社会現象を巻き起こすほどのヒットを記録し、2013年に日本公開された同名の恋愛青春映画を、日本を舞台に置き換えたリメイク作品である。仲間たちと、日々バカ騒ぎを繰り返していた地方都市の高校生・水島浩介(山田裕貴)は、優等生の真愛(齋藤飛鳥)に苦手意識があったが、話をするうちに、真愛の真っすぐさに触れ、惹かれていく。

『あの頃、君を追いかけた』

 乃木坂46の齋藤が期待にたがわぬ、いや期待以上のヒロインオーラを爆発させてくれたが、何より本作で作品を引っ張っているのは山田の振り切れぶりだ。仲間思いでおバカなクリクリ天然パーマのお調子者・浩介の、元気男子っぷりを山田が全力で表現。家に帰ると、真っ裸で歩き回り、お尻もばっちり披露。笑わせながら、やがて高校を卒業して大学へと進み、近づいたと思った真愛との距離が離れていくもどかしさや、確実にあり続けた心の奥の思いを流れる時間のなかで積み上げていく。リメイク作品には、オリジナルにその国ならではの要素が強く出ていることも多く(特に本作は自伝的小説が基)、難しくもある。だが本作はオリジナルへのリスペクトを込めつつ、キャスト陣それぞれがもともと持っている魅力を増幅させて、観る者の共感を誘う。山田は、単純バカに思えて「芸術家性と犯罪者性」の二面性を持つ浩介を、ひとりの人間としてきっちり肉付けして存在させてみせた。

 芸歴10年とは思えぬほどに多作な山田。本当にちらっと映るだけの「山田裕貴を探せ!」的な贅沢な出演をすることもある。『オオカミ少女と黒王子』(2016年)、『センセイ君主』(2018年)にもちらりと顔を覗かせている。またカンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)獲得の是枝裕和監督作『万引き家族』(2018年)にも、重要な役で短く出演しているのでチェックだ。

 さて、本年は陶芸王子役で出演した中井貴一×佐々木蔵之介のコメディ『嘘八百 京町ロワイヤル』が公開された山田。今後はアニメ『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』、15代将軍・一橋慶喜を演じる、司馬遼太郎原作、原田眞人監督・脚本、岡田准一主演の『燃えよ剣』、長野オリンピック金メダル獲得の裏にあった感動の実話を描く『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』、人気コミックが原作の北村匠海主演作『東京リベンジャーズ』が控える。『東京リベンジャーズ』では、主人公が挑むことになる関東最凶不良軍団・東京卍會副総長役で、総長役の吉沢亮と最凶コンビを組むことが発表されている。時代劇、感動実話、不良ものと全く毛色の違う作品が控える山田。公開時期は不透明だが、さまざまな役をそれぞれに熱く生きてみせてくれるはずだ。

■望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。

■公開情報
『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』
近日公開
声の出演:小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ、神谷浩史
声の特別出演:山田裕貴、りんごちゃん
ラクガキ応援大使:きゃりーぱみゅぱみゅ
原作:臼井儀人(らくだ社)/『月刊まんがタウン』(双葉社)連載中
監督:京極尚彦
脚本:高田亮、京極尚彦
製作:シンエイ動画・テレビ朝日・ADK エモーションズ・双葉社
配給:東宝
(c)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2020
公式サイト: http://www.shinchan-movie.com/

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