佐久本宝、引く手数多の俳優に 『エール』裕一の弟・浩二はそろそろ爆発!?

『エール』佐久本宝、引く手数多の俳優に

 さて、『エール』内での佐久本について話を戻そう。彼が演じる古山浩二は、冒頭で述べたように兄の影に隠れてしまっている、まるで尻ぬぐい的なポジションだ。家業である老舗呉服屋「喜多一」を立て直すため、兄である裕一に代わって日々奮闘。ところがだ、そんな彼をよそに、理想主義者である兄や、それを後押しする姿勢を取る父(唐沢寿明)、なんだかんだで夫のあとをついていく母(菊池桃子)……現実主義者である浩二にとっては悩みのタネばかりである。危機感を抱える彼は、そろそろ爆発してもおかしくないのではないかと睨んでいる。

 現在レギュラー出演しているメインキャストの中で最も若い森七菜もそうだが、佐久本もキャリアとしてはまだまだこれから。しかし両者共々、そのキャリアに比してこれまでの作品で重要な役どころを担ってきた存在とあって、自身の見せ場ではきちんと魅せる。その術をすでに体得しているのだろう。

 主人公である裕一の恋愛や将来にばかりスポットが当たっているのは当然だが、その中で、弟としてどのようなサイドストーリーを展開していくのか、浩二の動向からも目が離せない。朝ドラ初出演で、“主人公の弟”という大役を手にした佐久本宝。まだ出演作は少ないが、これからも引く手数多の俳優となっていくことだろう。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

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