遂にランキングは白紙に 映画興行「回復」までの長い道のりが始まった

映画興行「回復」までの長い道のりが始まった

 果たして、3ヶ月後に、大作が無事に公開されるまで状況が改善されているのだろうか? ここで言う「状況」には、新型コロナウイルス感染拡大を封じ込めることができるのかということだけでなく、観客が映画館に足を運ぶ気になれるのか、仮に足を運ぶ気になれたとして映画館が満席に近い状態になることに社会的なコンセンサスが得られるような状況になっているかどうかという、いくつものが要素がある。国内外問わず、これまでに映画館でクラスター感染が発生したという報告はされていない一方で、「峠を越えた」と言われているものの現在のアメリカにおける新型コロナウイルス感染状況は未だ深刻で、死者数は日本とはケタが2つ違う(4月20日時点でアメリカの死者数は4万931人、日本の死者数は171人)。

  最後に提言を。これから緊急事態宣言下の5月6日までに、アメリカやイタリアやスペインのような極端な感染拡大(未だに検査数が極端に少ない日本が発表している国内の感染者数は当てにならないが、特に死者数の急激な上昇があるかどうか)が見られなかった場合、映画館に関しては座席を一席ずつ空けるなどの処置をはじめ社会的なコンセンサスを得る(年に映画館に行くのが0回か1回か2回の人がほとんどの国でどれだけ得られるかはわからないが)ための努力を最大限した上で、段階的に休業を解除すべきだと思う。そうしなければ、映画館も、配給会社も、宣伝会社も、もはや立ち行かないところまできている。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「装苑」「GLOW」「メルカリマガジン」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。最新刊『2010s』(新潮社)発売中。Twitter

■公開情報
『ムーラン』
近日公開
監督:ニキ・カーロ
出演:リウ・イーフェイ、コン・リー、ジェット・リー、ドニー・イェン
オリジナル・サウンドトラック:ウォルト・ディズニー・レコード
ジュニア・ノベル:小学館
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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