前年比、1月~3月は36%減、先週末は90%減 明るいニュースは一つもない

映画興行、明るいニュースは一つもない

 映画興行に関して、明るいニュースは一つもない。米DEADLINEの報道によると、新型コロナウイルスの影響によって、1月から3月までの世界のトップ10市場は、前年比59%減。中国市場は91%減、韓国市場は56%減、日本市場は36%減とのこと。この数字は、新型コロナウイルスの影響が深刻化する前の2月までの興収も含めてのことだ。先週の全国動員ランキングトップ10の合計興収は前年比約90%のマイナス。言うまでもなく、今週末はさらに壊滅的な数字が上がってくるだろう。

 今回出された緊急事態宣言について、各映画メディアも含めて多くの記事で「発令」と記されているものが多くみられるが、安倍首相も会見で「発出」と言っていたように、今回の宣言は該当地域への「命令」ではないので「発令」は正しい言葉づかいではない。これから1〜2ヶ月、事態がどのように推移するかはまだわからないし、今後、映画産業に国からどのような補償があるのか(あるいは、ないのか)もまだわからないが、この状況がこの先まだ何ヶ月も続く可能性を考えた時、現時点でメディアが右に倣えで「発令」という言葉を使っているのは、自分には不用意に思える。映画興行の復活はいつか必ずやってくるはずだが、それは何かの「発令」や「号令」によってある日を境に突然元通りになるものではなく、各興行主の判断や観客の心理を踏まえた、段階的なものになっていくだろう。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「装苑」「GLOW」「メルカリマガジン」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。最新刊『2010s』(新潮社)発売中。Twitter

■公開情報
『名探偵コナン 緋色の弾丸』
近日公開
原作:青山剛昌『名探偵コナン』(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
監督:永岡智佳
脚本:櫻井武晴
音楽:大野克夫
主題歌:東京事変「永遠の不在証明」(EMI Records/UNIVERSAL MUSIC)
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、池田秀一ほか
配給:東宝
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント 
(c)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
公式サイト:http://www.conan-movie.jp/

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