木村文乃はなぜ時代劇に愛されるのか? 『麒麟がくる』にもたらす、青春ドラマ的爽やかさ

木村文乃、『麒麟がくる』にもたらす爽やかさ

 さて、『麒麟がくる』に初登場した第9話では、花びらと共に登場し、子供たちと隠れんぼをしているところで再会するという、まさにお伽話の妖精のように登場。そして「大きくなったら十兵衛のお嫁になるって」と子供の時の思い出話をして、十兵衛はモジモジしながら動揺すると「子供の頃の話でございます」と軽くいなし、早くも十兵衛の心が奪われるという、妖精と言うより、もはや小悪魔と言える天性の可愛らしさで十兵衛を翻弄していく。

 最近のドラマではなかなか観ることがない、正統派ヒロインの甘い登場シーンにSNS上では「可愛い!」の嵐となり、青春ドラマ的な楽しみ方で大いに盛り上がっていた。「武士の娘なのでどこか肝の据わった部分も意識しながら演じたつもりです」と言うように、影ながら支えると言うより、相手をコントロールしていくタイプに見え、当時の女性は廊下を殿方の一歩二歩引いて歩くところを、十兵衛の前を歩く姿は、関係性や熙子の性格を表していて面白い。愛嬌がある美人で、歴史的にも正室になることが分かっている、恋愛劇としては安泰のキャラであることで、視聴者は物語当初から十兵衛に想いを寄せていた駒(門脇麦)に感情移入し、恋愛リアリティーショーのような、木村史上今までにないナチュラルヒールぶりが面白くなっていく予感をさせる。

 芯が強く、相手に寄り添う役を多く演じてきているだけに、これから光秀が待ち受ける数々の難局もドンと構えて支える姿をどう明るく見せてくれるのか。30代の大人となり、ますます時代劇が似合う女優となった木村の演技に注目だ。

■放送情報
大河ドラマ『麒麟がくる』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00~放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00~放送
主演:長谷川博己
作:池端俊策
語り:市川海老蔵
音楽:ジョン・グラム
制作統括:落合将、藤並英樹
プロデューサー:中野亮平
演出:大原拓、一色隆司、佐々木善春、深川貴志
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/kirin/
公式Twitter:@nhk_kirin

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