仲間由紀恵が体現した“母”という存在 『10の秘密』最終話が示した最大のテーマ

『10の秘密』最終話で示した“母”の存在

 とはいえ今回の中盤、「いしかわ」の店先で圭太の母・純子(名取裕子)と由貴子が対峙し、2人の会話を店の中から瞳が聞いているというシーンは、なかなか見応えのあるものであった。普通の母親になれると思ったけれどなれなかったという、後の圭太とのシーンで由貴子の口から発せられる言葉へと繋がる、由貴子というキャラクターの抱えてきた苦しみを的確に表したこの場面。純子と由貴子の物理的かつ精神的な距離感といい、立ち去ろうとする由貴子に対して別れを告げる瞳の姿が重なることといい、“母”という存在こそがこの作品の最大のテーマであったのだと、最終話ではっきりと気付かされることとなった。

■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『10の秘密』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:向井理、仲間由紀恵、仲里依紗、松村北斗(SixTONES/ジャニーズJr.)、山田杏奈、高島豪志、堀田茜、河村花、佐野史郎、遠藤雄弥、藤原光博、山野海、名取裕子、渡部篤郎ほか
脚本:後藤法子
音楽:林ゆうき、橘麻美 
演出・プロデューサー:三宅喜重(カンテレ)
演出:宝来忠昭
プロデューサー:河西秀幸(カンテレ)
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ

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