藤ヶ谷太輔と奈緒の恋の行方はどうなるのか 『やめすこ』一貫して重要だった壱晴の“声”

『やめすこ』奪われた声=言葉

 本作で一貫して重要だったのは壱晴の“声”だ。それは届けたいのに思うように届けられない壱晴の姿をより顕著に際立たせる。さらに“声”は我々にとって言葉を届けるために必要なものだ。壱晴は声を奪われることで、気持ちを伝えることさえ不器用になっていたように感じる。そんな壱晴が桜子との出会いでどう変化したのか。そして桜子が壱晴の声をどれだけ大切に想っているのか。そんな視点で作品を観ると、より魅力的なラブストーリーになっていることがわかる。

 シンドラ初の本格派ラブストーリーは、まさに枠としても挑戦だっただろう。しかし、藤ヶ谷を筆頭に、奈緒、五関晃一の好演で、本作は春を迎えるのにぴったりな、切なくも暖かい作品となった。出会いと別れの季節、誰かとの関係を一歩進めたい人に贈る珠玉のラブストーリーである。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
『やめるときも、すこやかなるときも』
日本テレビにて、毎週月曜深夜24:59〜放送中(Huluでも配信)
出演:藤ヶ谷太輔、奈緒、五関晃一、火野正平、金澤美穂、浅見姫香、中井友望、遠山俊也、手塚理美
原作:窪美澄『やめるときも、すこやかなるときも』(集英社文庫刊)
脚本:桑村さや香
演出:小室直子
音楽:赤い靴
編成企画:田中宏史、川口信洋
チーフプロデューサー:福士睦
企画プロデューサー:⻑松谷太郎
プロデューサー:能勢荘志、高橋淳之介(「高」の正式表記はハシゴダカ)、松山雅則
制作プロダクション:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ、ジェイ・ストーム
(c)NTV・J Storm
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/tomoniikiru/
公式Twitter:@tomoniikiru_ntv
公式Instagram:@tomoniikiru_ntv

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる