藤ヶ谷太輔の苦悩に胸が締め付けられる 『やめるときも、すこやかなるときも』涙を誘う第8話

『やめすこ』藤ヶ谷太輔の苦悩

 その一方で、今まで壱晴を支えるばかりで各々のバックボーンが明かされていなかった哲先生と柳葉のエピソードも明らかになる。実は哲先生が大恋愛の末、愛する人を想って作った作品が「oubli」だったこと。哲先生が今もその人を思い続けていることが明かされる。このことは壱晴にとって救いにも、生きるためのヒントにもなるだろう。さらに、兄弟弟子の柳葉は、なぜ家具職人の道を諦めたのか、初めて壱晴に本音を吐露する。工房に対する思い、壱晴に対する思い、そして哲先生が壱晴に対して抱いている想いなどを壱晴に直接ぶつけた。ここでは柳葉を演じる五関が熱い芝居を見せる。優しく壱晴を支えてきた柳葉が初めて壱晴に気持ちをぶつけるこのシーンでは、五関の力強い眼差しと優しい声が強く胸に響く。五関が表現する柳葉の熱いメッセージは第8話の見どころの一つだろう。

 そんな壱晴と別れた桜子は、真織(中井友望)と壱晴のあいだには入れないと壱晴を忘れようとする。しかし合コンをするも、他の男性を見ても壱晴への想いは募るばかり。そこでようやく、壱晴が抱えていた真織に対する想いを理解するのであった。皮肉にも別れたことで愛する人を失う痛みを知り、壱晴を理解するきっかけを掴む桜子。こうして2人はすれ違いながらもゆっくり相手を理解しようと努める。椅子作りを通して桜子と向き合う壱晴と、別れを通して痛みを理解する桜子。2人の苦悩と葛藤が、涙を誘う。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
『やめるときも、すこやかなるときも』
日本テレビにて、毎週月曜深夜24:59〜放送中(Huluでも配信)
出演:藤ヶ谷太輔、奈緒、五関晃一、火野正平、金澤美穂、浅見姫香、中井友望、遠山俊也、手塚理美
原作:窪美澄『やめるときも、すこやかなるときも』(集英社文庫刊)
脚本:桑村さや香
演出:小室直子
音楽:赤い靴
編成企画:田中宏史、川口信洋
チーフプロデューサー:福士睦
企画プロデューサー:⻑松谷太郎
プロデューサー:能勢荘志、高橋淳之介(「高」の正式表記はハシゴダカ)、松山雅則
制作プロダクション:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ、ジェイ・ストーム
(c)NTV・J Storm
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/tomoniikiru/
公式Twitter:@tomoniikiru_ntv
公式Instagram:@tomoniikiru_ntv

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