日向坂46の“ハッピーオーラ”を体現したドラマ『DASADA』 『Re:Mind』からの変化を探る

『DASADA』に見る日向坂46の現在

 ぶりっ子で言葉の端々にダサさを滲ませる佐田とともに、ファッションブランド「DASADA」を立ち上げるのが渡邉演じる篠原沙織。「いつもの自分からあまりイメージできない役柄だったので最初は難しかった」というコメントが残されているように、小坂とは逆の、渡邉にとっては一匹狼で物怖じしないタイプのキャラクター。やがて篠原は佐田の存在の大きさに気づき、かけがえのない仲間として「DASADA」を有名にしていく。時には惨めな思いをしながらも、諦めずに進んで行くという姿勢は、けやき坂46から日向坂46へと改名し、“約束の彼の地”として夢見ていた場所・東京ドームへとたどり着こうとしている彼女たちのイメージとぴったり重なる。

 篠原のほかにも、小笠原真琴(齊藤京子)、高頭せれな(加藤史帆)、岡田いちご(佐々木美玲)、立花ゆりこ(佐々木久美)、畑屋菜々緒(富田鈴花)がDASADAのメンバーに。自由奔放なその様子は、『日向坂で会いましょう』でファンに知れ渡っている日向坂46の楽屋の風景のようでもある。

 キャスト名と役名が同じだった『Re:Mind』は、初めてけやき坂46を知る層にとって、メンバーの名前と顔を覚える入門編としても機能していたが、今作は日向坂46の“ハッピーオーラ”を体現した明るく突き抜けたドラマへとシフトした。坂道グループのテレビドラマとして見ると、乃木坂46は2019年に『ザンビ』(日本テレビ)が放送されている。こちらは、欅坂46や日向坂46を巻きこみ、舞台としても上演されたメディアミックス作品だ。グループ全体で主演を務めたドラマは2015年に放送された『初森ベマーズ』(テレビ東京系)で、欅坂46に関しては2017年の『残酷な観客達』(日本テレビ)以降、制作がされておらず、多忙を極めるグループのスケジュールを長期間押さえるのは難しいことが示されている。

 しかし、グループから個人へと移っていったのが、乃木坂46を例としたメンバー一人ひとりの女優としての成功だ。現在、白石麻衣を筆頭に、堀未央奈や山下美月など多くのメンバーが多彩な作品でそれぞれのカラーを発揮している。小坂の『ヒノマルソウル』への出演も、その流れに続く、女優としての二歩目、三歩目となるだろう。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『DASADA』
日本テレビにて、毎週水曜24:59〜25:29放送
放送終了後、Huluにて独占先行配信
出演:小坂菜緒、渡邉美穂、齊藤京子、加藤史帆、佐々木美玲、佐々木久美、富田鈴花、潮紗理菜、丹生明里、東村芽依、松田好花、河田陽菜、金村美玖、上村ひなの、高本彩花、宮田愛萌、高瀬愛奈、井口眞緒、森谷勇太、池端レイナ、坪倉由幸、野間口徹、長谷川朝晴
企画・原作:秋元康
監督:河合勇人、西村了
脚本:吉田恵里香
プロデュース:植野浩之
プロデューサー:山王丸和恵、水田貴久、伊藤裕史(AXON)
コンテンツプロデューサー:横山祐子
制作プロダクション:AXON
製作著作:『DASADA』製作委員会
(c)『DASADA』製作委員会
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/dasada/
公式Twitter:https://twitter.com/dasada_project
公式Instagram:https://www.instagram.com/dasada_project/

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