横浜流星を救った清野菜名の存在 『シロクロ』最終話で示した“白黒つけること”

『シロクロ』で示した“白黒つけること”

 リコもまた、レンに戻る前に“シロクロ”つけるべきことがあった。まずは囲碁喫茶・GOBANで春男(升毅)と話をし、春男と佳恵(椿鬼奴)からレンのことを聞く。そして今までのことへの感謝を述べた。そして麻衣子の元へ行き、向き合って話をする。リコにとって気がかりだったことは晴れ、全てすっきりと“シロクロ”ついたのだ。そしてリコは、レンに戻ることを決意する。

 直輝にとって利用していただけのレン(リコ)の存在は、誰よりもグレーな存在だった。1人の中に2人の人格が存在し、母親との関係やそれぞれの価値観などがせめぎ合う。門田(山崎樹範)から利用され、麻衣子には虐待され、レンとリコという2人の人物が同じ世界で共存するのは難しかったのだ。直輝とミスパンダは世間にシロクロつけてきたが、それは誰のことも幸せにしなかった。誰もが自分の罪に苦しみ、何人もが命を落とした。だが、ただ2人、レンとリコだけはお互いの存在に“シロクロ”つけることで、前に進むことができたのだ。直輝の活動は、結果的にグレーな存在として生きてしまったレンとリコに“シロクロ”つけることとなった。

 こうして『シロクロ』は幕を閉じる。直輝とレンがラストに見つめ合った時、2人はこの強い結びつきを思い出すのだろうか。2人の過ごしてきた思い出は誰にも“シロクロ”つけることはできない。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜23:25放送
出演:清野菜名、横浜流星、山崎樹範、吉田美月喜、中田圭祐、祷キララ、山口紗弥加
監督:遠藤光貴
脚本:佐藤友治、蛭田直美
チーフプロデューサー:岡本浩一(読売テレビ)
プロデューサー:福田浩之(読売テレビ)、馬場三輝(ケイファクトリー)、千葉行利(ケイファクトリー)
共同プロデューサー:池田健司(日本テレビ)
制作協力:ケイファクトリー
制作著作:読売テレビ
(c)読売テレビ
公式サイト:https://www.ytv.co.jp/shirokuro/
公式Twitter:@shirokuro_drama
公式Instagram:@shirokuro_drama

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