佐々木蔵之介、長谷川博己、安田顕、滝藤賢一ら、男女共に魅了する“イケオジ”俳優の魅力

男女共に魅了する“イケオジ”俳優

ダンディーな哀愁漂う滝藤賢一

滝藤賢一(c)「コタキ兄弟と四苦八苦」製作委員会

 無職のおじさんをレンタルするという異色の内容が話題の『コタキ兄弟と四苦八苦』(テレビ東京系)で、滝藤はちゃらんぽらんなおじさんの古滝二路を演じている。くるくるのカーリーヘアにくたびれた服で登場する滝藤は、本来の滝藤のイメージと異なる役を難なくこなす。『東京独身男子』(テレビ朝日系)では岩倉和彦役としてクールで神経質なイメージの弁護士を演じていた滝藤。プライベートでのお洒落な私服が話題になることも多く、ファッション雑誌『UOMO』(集英社)でも活躍している。俳優だけではなく、ファッションセンスを生かしてモデルとしても輝かしい姿を見せている。

 年齢が上がれば上がるほど、キャリアも深く多種多様になる。積み上げてきたものが多いからこその渋い魅力は、若手俳優とはまた異なるフェロモンを放つのだ。40代以上のイケオジたちは、自身が主演を背負っても堂々とたち回ることができ、サポート役に回ってもしっかり影の立役者に徹することができる実力も持ち合わせている。さらに、活躍している俳優には、『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』(フジテレビ系)や『それぞれの断崖』(東海テレビ・フジテレビ系)の遠藤憲一、『ルパンの娘』(フジテレビ系)や『10の秘密』(カンテレ・フジテレビ系)で活躍する渡部篤郎などもそれぞれ圧倒的な色気と厳かな雰囲気で視聴者を虜にしている。経験のある人間にしか出せない味と、深み、そして圧倒的な芝居の実力を誇るこの世代の俳優たちには、老若男女問わずファンがつく。時に潔くヒールに徹することができるのもこの世代の俳優の強みだろう。

渡部篤郎『10の秘密』(c)カンテレ

 昨今は特に、熟年層が中心となる作品がSNSなどでも話題を呼びやすくなっており、空前の“おじさんブーム”とも言えよう。『デザイナー 渋井直人の休日』(テレビ東京系)のようなお洒落な映像で粋なおじさんの生活を描く作品から、『孤独のグルメ』(テレビ東京系)のように美味しそうに食事をするおじさんを描く作品、さらにはキュートな芝犬とおじさんを掛け合わせた『柴公園』(テレビ神奈川)などもSNSをに賑わせた。それぞれおじさんの人生×趣味を描いたシンプルな主題でありながら、バックボーンを想わせるセンチメンタルな描写やギャップなどで視聴者を魅了する。

 さらに、『おっさんずラブ』『おっさんずラブ-in the sky-』(共にテレビ朝日系)や『私のおじさん~WATAOJI~』(テレビ朝日系)など、タイトルにおじさんをいれてフックにする作品も増えてきた。これはもう“おじさん”という存在に一定のニーズがあるといってもいいだろう。この現象は、「おじさんが魅力的な作品になる」という意外性による、一過性のバズである可能性も否定できないが、俳優陣のレベルが高く、思わぬ“名作”が生まれているのもまた事実。こうして結果を積み重ねることで、これからもおじさんドラマが増えていく未来も見えてくるだろう。

 若手がいればそこには必ずベテランがいるように、彼らはどんな時も芝居の世界を支えてきた。今後も社会派ドラマの上司役や、ベテラン刑事など熟年ならではの役にぜひ注目してもらいたい。そこで新たな魅力に開眼することができるかもしれない。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■放送情報
水曜ドラマ『知らなくていいコト』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、重岡大毅(ジャニーズWEST)、秋吉久美子、佐々木蔵之介、小林薫、本多力、小林きな子、和田聰宏、山内圭哉、関水渚、森田甘路、今井隆文ほか
脚本:大石静
演出:狩山俊輔、塚本連平ほか
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:小田玲奈、久保田充、大塚英治(ケイファクトリー)
(c)日本テレビ

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