エディ・マーフィ、完全復活! 『ルディ・レイ・ムーア』で見せた“喜劇王”としての実力

エディ・マーフィ、“喜劇王”としての実力

今こそ見返したい『ビッグムービー』

「負け犬が奮闘する、ってのは映画にとって万国共通のテーマだよ!」

 これはエディが『ビッグムービー』(1999年)に出演した時の発言だ。そう語るように、『ビッグムービー』も負け犬が奮闘する様を描いた映画。しかも、『ルディ・レイ・ムーア』と同じく、主人公がなけなしの金で映画製作に乗り出す、というテーマも一緒! とにかくクレイジーな敗者復活戦が展開されるので、『ルディ・レイ・ムーア』でエディに注目した方には是非、オススメしたい逸品。まずキャスト&スタッフが素敵ですから。監督を務めるのは『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980年)でヨーダのパペット操演と声を担当して以来、シリーズでヨーダの声を担当しているフランク・オズ。脚本はエディと共に主演も務めるスティーヴ・マーティン。共演はロバート・ダウニー・Jr.。

 マーティン演じる主人公は、ハリウッドのド底辺にいる売れない自称・映画監督。物語は、彼がエディ・マーフィ演じる大物アクションスター主演のSF映画を監督する姿を描く……という書き方で間違いないのですが、その撮影スタイルがあまりに常軌を逸している。まず、マーティンは素人同然の身なので、エディに出演依頼などできない。金も人脈もないマーティン監督は、乾いた雑巾から水滴を絞り出すように知恵を出して、“俺ジナルすぎる秘策”を思いつく。

 それは――エディ主演の映画を彼に内緒で撮影すればイイ。つまり、エディの出演場面はすべて盗撮。エディのリアクションが欲しい場面では、プライベートのエディのもとに役になりきった出演者がアポなしで突撃。そして、アタフタするエディの様子を盗撮すればオッケーでしょ! というわけで、どう考えてもアウトすぎる映画撮影がスタート! しかも彼らが撮るのは宇宙人による地球侵略モノ。

 そんなわけで、オフの日のエディがカフェでくつろいでいると突然、見ず知らずの女性が押しかけてきて、「あなたは宇宙人への愛を優先させた!」と烈火のごとく意味不明な説教して、風のように去っていく。そんな状況が度重なった結果、エディの頭の中はこれ以上ないくらい混乱していく……って、どうです? 一寸先が読めない素敵な物語ですよね? ネタバレになるので書きませんが、エディの喜劇王としてのスキルが最大限にスパークした作品であることはお約束します! しかも、本作も『ルディ・レイ・ムーア』に負けないくらい気持ちが晴れやかになるラストが待っているので、最近疲れている方は是非!

■ギンティ小林
フリーライター。心霊スポット取材もしてます。著書は「新耳袋殴り込み」シリーズが角川ホラー文庫から発売中。編著本は『映画秘宝EXマッドマックス・ムービーズ』(洋泉社)など。現在心霊&ショック映像ドキュメント『スーサイドララバイ きめてやる今夜』撮影中! Twitter

■配信情報
Netflix『ルディ・レイ・ムーア』
配信中
監督:クレイグ・ブリュワー
出演:エディ・マーフィ、キーガン=マイケル・キー、マイク・エップス、クレイグ・ロビンソンほか
Netflix:https://www.netflix.com/

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