竹内涼真が鈴木亮平に正体を明かす 『テセウスの船』物語の舞台は再び2020年へ

『テセウスの船』舞台は再び2020年へ

 真犯人が動き出す前に佐野たちを救うため、心は佐野に音臼小の事件と自分が息子であることを話す。だが、佐野はその事実を受け止めることができない。佐野にとって、子どもたちを守ろうとする自分が犯人になることなど思いもよらないことであり、それに輪をかけるように、目の前にいる若者は、自分のことを未来から来た息子だと言っているのだ。

 「俺は息子なのにあなたのことを信じようともしなかった」。父親らしい佐野の姿を知り、心の中で後悔の念が堰を切ったようにあふれ出す。なんとしても家族を救うと決めた心は、佐野に「信じてください」と訴え、犯人にされてしまう前に村を出て行くよう懇願するが、反対に「何が未来の息子だ。今すぐ出て行け」と言われて追い出されてしまう。

 泣きじゃくりながら決死の覚悟で思いをぶつける心と、どこまでもまっすぐで家族思いの佐野。時を超えた父子の対峙には、火花を散らすような熱と緊張感がみなぎっていた。佐野が心に「出て行け」と言ったのは、真実を否定したというよりも、一家で村を出てほしいという心の勧めに対して、佐野の中にある何かが反射的に拒んだのだろう。それを正義感と言い換えても間違いではないと思う。

 まっすぐに心を見つめながら、佐野は「ようやく腹くくった」と事件を阻止することを誓う。父と子が絆を確かめ合った瞬間だった。

 事件の真相は依然不明のままだが、前回ラストでは村人の中に真犯人が潜んでいることが示唆された。今回、犯行予告と思われる絵が小学校の校門と教室で見つかっていることから、関係者に真犯人がいる可能性が強まった。金丸も何かに勘づいたようだった。ふたたび舞い戻った現代で、心は何を目にするのだろうか。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
日曜劇場『テセウスの船』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:竹内涼真、榮倉奈々、安藤政信、貫地谷しほり、芦名星、竜星涼、せいや(霜降り明星)、今野浩喜、白鳥玉季、番家天嵩、上野樹里(特別出演)、ユースケ・サンタマリア、笹野高史、六平直政、麻生祐未、鈴木亮平
原作:東元俊哉『テセウスの船』(講談社モーニング刊)
脚本:高橋麻紀
演出:石井康晴、松木彩、山室大輔
プロデューサー:渡辺良介、八木亜未
製作:大映テレビ、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/theseusnofune/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる