芳根京子「“本当の自分”がわからなくなってくる」 山田涼介も大絶賛の表現力に迫る

芳根京子の表現力に迫る

「“演じる”ってなんだろう」

ーー山田さんもオフィシャルインタビューで「今まで出会った人の中で、一番感情の揺さぶりが激しい人」と芳根さんの演技を大絶賛されていましたが、芳根さんは作品や演じる役柄によって印象が全く異なります。

芳根:山田さんのように第一線で活躍されている方に認めてもらえるのは、純粋に嬉しいですね。でも、自分の中では演じ分けているような感覚はあまりないというか……逆に“本当の自分”がわからなくなってくるんです。

ーーそれはどういうことでしょう?

芳根:すんなりと入ることができる役だったり、最初から自分が無理をせずに演じられる役もあるんです。だけど、やっていくうちにラクになっていくんですよ。ラクっていう言い方が正しいのかわかりませんが、苦しくないとかではなくて、背伸びせずにできるというか。最初は背伸びしながら役に合わせていって、一度合ってしまえばもう大丈夫みたいな感じなんです。毎回そういうことの繰り返しですね。

ーーそれを繰り返していると、“本当の自分”がわからなくなっていくと。

芳根:そうなんです。ふと「あれ、本当の自分の顔ってどうだっけ?」と思ったりするんです。最近ちょうど親とも「“演じる”ってなんだろう」という話をしていたんですよ。「演じる」というのは言葉としては合っているんだけど、感覚としてはちょっと違うというか。「その人の人生を生きる」という感覚が近いかもしれません。「この人が実際にこの世界にいたら?」「この人はもしかしたら今どこかにいるんじゃないか?」と思ってもらいたいので、常にそういう意識は持ってやっています。

ーーそれは昔から変わらずですか?

芳根:このお仕事を始めて7年になるのですが、徐々に変化していきました。いろいろな役をやらせていただいて、真ん中にも立たせていただいて、自分でいる時間よりもお仕事をしている時間のほうが長くなってきてから、そう思うようになりましたね。

ーーなるほど。では逆に、今までで一番難しかった役はなんですか?

芳根:えーなんだろう……。「あ、掴めたな」というところまでいくのに一番時間がかかったのは、今回の真希かもしれません。他の役だと、何日かしたらなんとなく「分かった気がする!」となって、前に前に進む感じが出てくるんですけど、『記憶屋』は1日目が終わって、「え、1日目終わったのに何も得てない!」という感じでした。そこから数日も「どうしよう……」って。

ーー今までとは違った感覚だったわけですね。

芳根:だいたいいつもは感覚を掴んで、このまま進めばいいんだなと希望の光が見えるのが、最初の3日間とかなんですけど、『記憶屋』はたしか10日くらいかかりました。カメラを回す前の段取り時に、毎回監督から「真希、もうちょっと無邪気に」と何度も言われて、「もっといっていいんですか!?」みたいな感じで少しずつ様子を見ながら苦戦していました。お話自体はファンタジーだけど、リアルさも必要で。どうしたらリアルに見えるようになるか、それはすごく難しかったですね。

ーー役者として、また一人の人間として、考え方で変わってきたことはありますか?

芳根:20代のうちは今のようにいろんな役に挑戦して、30代になったら深みを出していきたいなと考えるようになってきました。今はとにかく、可能性を見つけたいというか、横に広げていく感じですかね。落ち着いてきたら、どうやって上に伸ばしていくかを考えることになるのかなと思います。今年はちょうど大学に行った友達が卒業して新社会人になる年なので、よりそう考えるようになりました。この7年、私はラッキーだったなって。

ーー2020年は『記憶屋 あなたを忘れない』の公開もあり、ヒロインとして出演する連続ドラマ『コタキ兄弟と四苦八苦』(テレビ東京系)も始まりました。年始にはHTB開局50周年ドラマ『チャンネルはそのまま』の再放送もありましたね。

芳根:1月は関わらせていただいたいろんな作品が世に出ていく月なので、私としてもすごくいいスタートだなと思っています。今年はまだどうなるかわからないですけど、自分の中で、毎年なんとなく誕生日(2月28日)を意識するようにしているんです。誕生日に何の作品をやっているか。どの作品も大事なんですけど、振り返ると、自分の中で大きなターニングポイントとなる作品は誕生日の月にあるような気がするんです。『べっぴんさん』(NHK総合)も『海月姫』(フジテレビ系)もそうでしたし、去年の誕生日は初めて主演をやらせていただいた舞台『母と惑星について、および自転する女たちの記録』の稽古中だったんです。23歳になる来月、自分は何をしているのか。そこで踏ん張っていければ、またいい流れに乗れると思うので、自分に期待しつつ、楽しんでいければいいなと思います。

■公開情報
『記憶屋 あなたを忘れない』
全国公開中
出演:山田涼介、芳根京子、佐々木蔵之介、蓮佛美沙子、泉里香、田中泯、杉本哲太、佐々木すみ江、櫻井淳子、戸田菜穂、ブラザートム、須藤理沙、濱田龍臣、佐生雪、稲垣来泉
監督:平川雄一朗
原作:織守きょうや『記憶屋』
脚本:鹿目けい子
配給:松竹
(c)2020「記憶屋」製作委員会
公式サイト:https://kiokuya-movie.jp/

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<応募締切>
1月27日(月)

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