『アライブ』『トップナイフ』『病室で念仏を唱えないでください』など、各局医療ドラマの狙いは?

各局医療ドラマの特徴と狙い

『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)

『恋はつづくよどこまでも』(c)TBS

 昨年の『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)、『これは経費で落ちません!』(NHK総合)等お仕事ドラマにおける恋愛パートの素晴らしさ、共感度の高さで、もはや現代においては恋愛一辺倒のドラマよりも「恋愛も仕事も頑張る」ドラマの方が受け入れられることが証明されたが、このドラマは、恋愛メインのお仕事ドラマ、さらには医療ものということで、最強の武器がいくつも装備されたドラマだと言える。

 ヒロインがドジで天真爛漫キャラだが行動力はあるという点では、本作脚本の金子ありさも脚本を手がけていた『ナースのお仕事』(フジテレビ系)シリーズと重なるが、いかに新しさを見せるのか。夢と目標が恋から始まっていて、全ての行動は佐藤健演じる天堂に認められたいという思いに続くという、恋を全面に出した、最近のドラマでは珍しいタイプのヒロインから目が離せない。

『病室で念仏を唱えないでください』(TBS系)

『病室で念仏を唱えないでください』(c)TBS

 伊藤英明のキャラクターヴィジュアルとタイトル名からしてコメディかと思いきや、僧侶でありながら救命救急医であるために、生と死の両方を見つめ問う、1話完結形式の医療ドラマだ。伊藤英明、中谷美紀、ムロツヨシがどんなアンサンブルを奏でるのか。『インハンド』(TBS系)の平野俊一が演出を手がけるのも期待大である。

 『救命病棟24時』(フジテレビ系)という傑作もある救命救急センターを舞台に、コミカルな部分もありつつ、救命医と専門医の対立や、終末期の患者の心のケアや霊安室での枕経などを兼任している主人公ならではの、これまでの医療ドラマにはなかった部分も描く、今期の大本命になりそう。

 医療ドラマと一言で言っても、がん、脳、心、循環器(ラブ?)、救命救急、病院経営と、ジャンルは多岐に及んでいる。医療はそれだけで生死という、人間の最も重大な問題を扱い、患者だけでなく患者の周囲の人々の人生をも揺り動かす。そして、医療に携わる人々の人生そのものも描くことができるために、お仕事ドラマにも恋愛ドラマにもなる。

 さらには、人手不足や訴訟問題、経営問題と、現代社会における様々な問題も内包している。描き尽くされているジャンルではあるが、さらなる可能性が見込めるジャンルであることは間違いない。

 それぞれの局が起死回生を図り、新たな医療ドラマの傑作を作るために模索している。魅力的な出演陣含め、期待せずにはいられない。

■藤原奈緒
1992年生まれ。大分県在住の書店員。「映画芸術」などに寄稿。

■放送情報
『アライブ がん専門医のカルテ』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:松下奈緒、木村佳乃、清原翔、岡崎紗絵、中村俊介、三浦翔平、田辺誠一、藤井隆、木下ほうか、高畑淳子、北大路欣也
脚本:倉光泰子
プロデュース:太田大、有賀聡
演出:髙野舞
音楽:眞鍋昭大
(c)フジテレビ

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